インテルが「Lunar Lake」に関する技術詳細の一部を発表。次世代Core Ultraを形作る新アーキテクチャ

Image:Intel

インテルは、次世代のCore UltraモバイルプロセッサーとなるCPUアーキテクチャ「Lunar Lake」に関する詳細の一部をComputex 2024で発表した。

CPUの覇者インテルにとって、最近の業界の流れはなかなか厳しいものだ。AMDがRyzenプロセッサーで競争力を取り戻し、かつての顧客だったアップルはApple Siliconを開発して、いまやプロセッサーメーカーとしてインテルと競合するようになった。さらにクアルコムもArm互換プロセッサーの弱点だった処理速度の遅さを覆すSnapdragon Xシリーズで、マイクロソフトの「Copilot+ PC」対応に一番乗りを果たしている。

しかしそれでも、いまはまだ販売されているPCが搭載するプロセッサーの大半がインテル製だ。そして「Lunar Lake」は、Copilot+ PCの要件を満たす48TOPSのニューラルプロセッシングユニット(NPU)、新しい「Battlemage」アーキテクチャに基づくXe2 統合GPUを搭載し、競合他社による攻勢を押し返す役割を担って登場するCPUアーキテクチャーということになる。

Lunar LakeはMeteor Lakeで導入された複数のシリコンダイを1つの大きなダイに乗せたチップレットベースの設計を受け継ぎ、それでいてシンプルさも併せ持つ効率的なチップデザインとなっている。「Skymont」と呼ばれる高効率コア(Eコア)x 4基と「Lion Cove」と呼ばれるパフォーマンスコア(Pコア)x 4基で構成されるCPUは、Pコアにおけるハイパースレッディングを無効化された。インテルによると、ハイパースレッディングのサポートに必要な設計部分を削除し、ダイのスペースと消費電力を削減しつつOSスケジューラによるPコアとEコアへのスレッド送信を改善することで全体的な性能への影響を最小限に抑えられるとのことだ。

購入者が気をつけるべき点は、このチップにはDRAMがパッケージ化されているというところだろう。これによってデータの移動距離が短くなり、消費電力が40%も削減された。さらにマザーボード上でRAMを搭載する物理的スペースが必要なくなるため、その分製品を小さくしたり、バッテリー容量の拡大に使うことができるようになる。これはアップルがMシリーズのSoCで採用しているのと同じ考え方だ。

一方で、Lunar Lake搭載のノートPCを購入する場合、RAM容量の選択肢は16GBか32GBに限られる。大半のユーザーならこのどちらかで問題なく使用できるはずだが、購入後に追加でRAMを搭載することはできない。

そのほか、Lunar LakeにはWi-Fi 7とBluetooth 5.4、2つのThunderbolt 4ポートといった入出力機能も、さらに専用のセキュリティエンジンも搭載される。これは事実上Microsoft Plutonとして利用できるものになるという。

Lunar Lakeを採用する製品は、インテルによると20社から80種類が年内に登場するという。おそらくそれらは9月にベルリンで開催されるIFAで発表されることになるだろう。なお、インテルはデスクトップ向けの次世代SoCとなるArrow Lakeも、IFAで発表する可能性がある。

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