“被爆者なき時代” を前に AI活用し被爆証言を「対話形式」で再生 広島市が新装置を製作へ

被爆者が高齢化する中、広島市は「AI」を活用して画面上の被爆者から対話形式で証言を聞くことができる装置を製作することになりました。

製作するのは、「被爆証言応答装置」です。

インタビューをするのは5人の被爆者で、質問に応じる形で複数の回答を事前に収録します。被爆者が映し出される画面は等身大の大きさを予定していて、利用者が画面に向かって質問すると、収録された証言の中からAIが選んだ回答が再生され、被爆者と対話をするように証言映像を見ることができます。

装置は5台製作し、来年8月の運用を目指します。原爆資料館などに常設するほか、学校での出張授業などでも使いたいとしています。

松井市長は、被爆者の高齢化が進む中、「証言を伝えることは喫緊の課題」と述べ、危機感を示しました。

広島市 松井一実 市長
「確実に被爆者の方がいなくなる時代が近づいていまして、証言者がいたら『どんな状況で、どんな気持ちで』と質問したくなるような局面がありますが、対話を通じて受け止めることができていますが、それすらできなくなる可能性が高くなることは明らかです」

また、AIが質問を取り違えるなど、間違った証言が伝わる危険性については次のように話しました。

松井市長
「質問のポイントや狙いが分からないとき、AIが勝手な答えをしないよう『この質問にはお答えできません』とか予備装置を工夫することで誤解なきようにするというのもある」

広島市は、装置の製作に6820万円を確保する予定で、予算案は18日から始まる6月議会に提案されます。

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