地震で酸素濃度低下影響か シロエビ不漁で富大調査

調査で富山湾の海中に混ざった物質を集める機器(富大提供)

  ●ベニズワイ地滑りで埋もれる?

 富大などでつくる研究チームは、能登半島地震で海底地滑りが起きた富山湾を調査した中間報告を取りまとめ、シロエビの水揚げ減少の要因について、地震で海水に泥が混じって濁り、酸素濃度が低下した環境を避けた可能性が高いとした。ベニズワイガニは地滑りで埋もれたほか、生息環境の悪化で移動した可能性があるとした。

 調査は富大学術研究部理学系の張勁(ちょうけい)教授、九州大、長崎大の教員や航海士らによるチームが5月31日~6月2日に水深1300メートル付近の海底谷で実施した。

 海底面には地震によって運ばれて堆積したとみられる新たな地層15センチ程度が確認された。海底近くでは海水に泥が混じって濁り度合いが過去の観測に比べて数倍高くなり、有機物の分解により酸素濃度も低くなっていた。

 シロエビの漁場は水深200~300メートルで、今回の調査エリアより水深は浅いものの、富大の張教授は、「同様な状況にあると推測され、(シロエビが)こうした水環境を避けた可能性が高い」としている。

 ベニズワイガニの漁場は今回の調査と同じような水深帯にあり、ベニズワイガニやその餌となる生物も地滑りの影響で埋もれたり、生息環境が悪くなって移動したりした可能性があるという。

 今回の調査は、シロエビの記録的不漁など地震が漁業に大きな影響を与えているとみて、緊急的に3日間にわたって実施した。調査の最終結果は、今年度中にまとめる。

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