受賞作 清涼感光る 「気化」 目覚めの女性石こうで 「水が蒸発するイメージ」

県美術大賞に選ばれた本柳さんの彫刻「気化」

 第78回福島県総合美術展覧会(県展)で県美術大賞に輝いた白河市の本柳幸音さん(22)の彫刻「気化(きか)」は、朝に起きて目をこする女性の姿を石こうで表現した。技術力の高さや発想の独創性が評価された。

 本柳さんは起床時の人の姿を「水が蒸発するイメージ」で捉え、液体が気体に変化する「気化」を題とした。女性は右手を床について上半身を起こし、左手で目をこすっている。朝のすがすがしい空気感を想像して、石こうを桃色と黄色のアクリル絵の具でほのかに着色した。頭や胸、腰など体の周りには「ふわふわ」「ぼんやり」といった朝の雰囲気の象徴として雲を配置した。

 この他、公募2席の県美術準大賞には工芸美術の部の井上舞さん(49)=二本松市=の「花野泉(はなのいずみ)」が選ばれた。県美術賞・福島民報社長賞は工芸美術の部の星知里さん(23)=南会津町=の「乾漆箱『木漏れ日』」。全部門を通して最も多くの生徒が入選した福島西高に学校奨励賞が贈られた。

 県展は県、運営委員会などの主催。日本画、洋画、彫刻、工芸美術、書の5部門に742点が出品された。

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