中町NPO 不登校支援マップを作成 25カ所一覧 「困った時」は 町田市

作成に関わったメンバー(中央が広田さん)

町田を中心にフリースクールの運営や公立の学校で探求の授業支援を行う特定非営利活動法人リトリト(中町)が中心となり、不登校になった際に居場所となる市内の団体等をまとめたマップを作成した。同法人の広田悠大さんは、不登校の長期化を防ぐため、「困ったときにすぐ、一覧で見られるものが必要と考えた」と話す。

この「まちだ多様な学び場MAP」には、遊び場・居場所となるプレーパーク、学びを得るフリースクール、保護者などの繋がりとなる親の会、合計25カ所の場所や連絡先などが一覧で記載されている。広田さんは「居場所となる場所は市内に多くあるが、一覧になったものはこれまでなかった」という。

居場所をつなぐ

一方、フリースクールなどの居場所はそれぞれに特徴があり、できることも異なるため、必ずしもその子どもにとって「居心地がいい」とは限らないという。今回マップを作り、市内全域の施設が分かるようにしたことで、「より子どもの個性にあった場所を選べる可能性が広がった」。また、団体同士の繋がりも生まれ、よりその子の個性に合う場所へ誘導が容易になるという。発起人のひとりで、不登校児の母でもある大野理加さんは「子どもが不登校になったときに、保護者も余裕がないため、居場所を調べる力がないことがある」と、当事者の心境を語りつつ、マップの活用に期待を込める。

「再現を」

作成に至った背景にあるのは、広田さん自身の経験。町田で生まれ育った広田さんは、中学生の時、不登校に。しかし、市と大学の行う不登校支援と繋がりができたことで、学業の場にスムーズに戻ることができたという。

ただこれに対し、「自分は運が良かっただけで、再現性がない」と広田さんは頭を悩ませた。業務に携わる中で、学びや遊びの場との接点が途絶えることで、不登校が長期化してしまう実態に広田さんは課題を感じていた。そこで自身の「身に起きた偶然」を、誰もが再現できるようなツールが必要と考えた。「困ったらこのマップを見る。そんなニーズに役立つものを作りたい」。そんな中、相談に訪れた大野さんと思いが一致。和光大学で心理学などを教える高坂康雅教授と共にマップ作りを決意し、昨年度、作成を開始。同大学の補助金を利用して、今年3月に完成した。

市役所などで

マップはA3見開きサイズの紙で市役所や小児科院で配布され、年に1度、更新し再発行するという。また、まちだ多様な学び場居場所MAPネットワークのホームページで見ることも可能で、随時情報が更新されていく。市内の不登校の人数は、2022年度のデータで約1100人。割合でみると全国平均と大差ないが、市の人口が多いことと比例し子どもの数も多く、そのため不登校児も多いという特徴があるという。

「不登校とは心を守るための防衛手段」と広田さんは前向きに捉える。フリースクールの意義とは学校以外の選択肢を増やし、子どもの個性を伸ばすところにあると説明。学校の否定ではなく、多様性を認め、居場所となることが重要で、「社会も多様化しているように、子どもも多様化している。学校に適応できない子に選択肢を届けたい」と話している。

完成したマップ

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