和食の調理技術ハワイで伝える ヒドゥン・ジャパン、料理人派遣、教育プログラム

須田剛史料理長(中央)が魚のさばき方などを教えたワークショップ=米国ハワイ(ザ・ヒドゥン・ジャパン提供)

 外国人向けツアー企画などを行う「The Hidden Japan(ザ ヒドゥン ジャパン)」(酒田市)は、和食の調理技術を米国ハワイの料理人に伝える教育プログラムに乗り出した。和食を通して日本に興味を持つ人を増やし、インバウンド(訪日客)拡大を狙う。ハワイの民間組織と連携した取り組みで、第1弾として鶴岡市の料理人による魚料理のワークショップを現地で開いた。

 民間組織は、米政府の委託を受けて次世代に魚食文化を伝える非営利団体「太平洋諸島漁業グループ」で、同市立加茂水族館内のレストラン「魚匠ダイニング沖海月(おきみづき)」の須田剛史料理長が現地に派遣された。同団体は昨年8月、同社のツアーに参加して庄内地方を巡った際、須田料理長の魚をさばく技術に感銘を受けた。これをきっかけに連携を打診し、今回の教育プログラムが実現した。

 ワークショップは4月24~26日、ハワイ大学など3校で行われ、料理人や学生ら計約80人が参加した。須田料理長がハワイ沖で取れたマグロやキンメダイのさばき方、すしの握り方、和包丁の研ぎ方をレクチャー。「技術だけでなく、背景にある意味を理解してもらうことが大事」として、和食の歴史も説明した。参加者からは「繊細な技術に感動した」「鶴岡で食文化を学びたい」などの反応があったという。

 同社の山科沙織代表は「ハワイで和食は多く食べられているものの、調理技術はまだあまり知られていない」と説明。「プログラムを通じて、山形で技術を学びたいと希望する声は多い。彼らが母国で和食を振る舞うことで、魅力が広く発信され、インバウンドの拡大が見込める」と話す。

 今後も引き続きハワイでワークショップを開くほか、アラスカなど他地域でのプログラムの展開も予定している。

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