「ボクシング界最高の存在」とモンスターに最大級の敬意を示すフェザー級新王者陣営。井上尚弥との対戦が実現する可能性は?

階級を超えた対戦要望の熱意が「モンスター」に向けられている。

世界スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(大橋)の次期防衛戦の相手に、現在もさまざまな名前が候補として挙がっている。だが、すでに将来的な井上のフェザー級転向を見据え、新たな階級での対戦を望むとする声も少なくないようだ。

米メディア『BOXINGSCENE.com』が6月5日、公式サイト上において、現WBA世界フェザー級王者であるニック・ボール(英国)のトレーナーを務めるポール・スティーブンソン氏が、井上とボールのファイトを熱望していると伝えた。

ボールは今月1日、サウジアラビアでレイモンド・フォード(米国)に挑み、判定で勝利しWBAフェザー級のベルトを奪取したばかり。現在まで21戦20勝1分け(11KO)の戦績を残している。その27歳の新王者を長くサポートしてきたスティーブンソン氏のコメントを同メディアが掲載している。

ボールの今後について、スティーブンソン氏の展望のひとつとして、「我々が本当に望んでいるのは、ナオヤ・イノウエ戦だ」と断言したという。そして「我々が今後の戦いを計画するうえで、イノウエとの戦いは最大の戦いになる」と続けた。

さらに、「ニックはイノウエを動揺させる大きなチャンスがあると思う。私たちは彼を信じている。将来的にも素晴らしい試合になる」として、「対井上戦」へのビジョンを述べている。

また、試合展開についても、「両者のスタイル的には、激しい試合になる」と見通しながら、「イノウエは今、ボクシング界で最高の存在だ。もちろん、私たちもニックを彼(井上)のような選手にしたいけれど、2人はアプローチが似ている」などと言葉を並べ、日本人王者への敬意も示している。

加えて同メディアも、「誰もが認めるスーパーバンタム級チャンピオンがいずれ、フェザー級にステップアップするとき、迎え撃つのはボールである可能性が高まっている」と指摘。また、両選手のメンタル面にも言及し、「最もタフな課題を探し、それを正面から突き詰めるという点では気が合うと、スティーブンソンは考えている。もし両者がマッチアップした場合、どちらもそのアプローチを変えることはないだろう」などと説いている。

これまでも、異なる階級を主戦場とするファイターから井上側に対戦を求める声は報じられてきた。その中でも、ベルトを巻いたばかりであるニック・ボールとの一戦はこの先、最も現実的な戦いと言えるのかもしれない。

構成●THE DIGEST編集部

© 日本スポーツ企画出版社