突然の悲しみ、会えない苦しみ「遺族の気持ちを知って」 被害者支援センターとちぎ18冊目のメッセージ集「証」

事件事故の被害者遺族の思いやイラストを掲載したたメッセージ集「証」

 事件事故の被害者や家族を支援する「被害者支援センターとちぎ」(宇都宮市桜4丁目)は6日までに、遺族が抱える思いをまとめたメッセージ集「証(あかし)」を発行した。10人が家族を突然失った悲しみや事件事故の根絶に向けた思いをつづった。2007年から毎年発行しており、18冊目。

 00年9月に宇都宮市内の市道交差点でトラックにはねられ亡くなった同市、菊地良和(きくちよしかず)さん=当時(14)=の妹利佳(りか)さんは、兄から受けた愛情の深さや、今も募り続ける会いたい気持ちを記した。「『生きていることが何よりの幸せだ』とお兄ちゃんから教えてもらいました」と文章を結んだ。

 利佳さんの小学4年生の娘が描いた良和さんのイラストと「私が生まれて、一度もあっていないね。けれど、心のそばにいてね」とのメッセージも添えられている。

 12年1月、乗用車にはねられて亡くなった男子大学生の母は、苦しみながら息子の死を受け入れている現在の心情を吐露。別の事件の遺族は被害者支援のありがたさなどをつづった。

 同センターの本村誠(もとむらまこと)事務局長は「証を読んで遺族の気持ちを知り、被害者支援の重要性を考えてほしい」と呼びかけている。

 今回は県共同募金会の「赤い羽根おうえんプロジェクト」の助成を受け、昨年の2倍の3千部を作成した。希望する全国の学校や官公庁、矯正施設に配布している。(問)同センター028.623.6600。

© 株式会社下野新聞社