「花しょうぶ」間に合う 砺波・頼成の森、祭り14日開幕 昨夏の大雨、甚大被害も修復完了

咲き始めたハナショウブ=6日、砺波市の頼成の森

  ●「奇跡の苗」用意

 砺波市の県民公園頼成(らんじょう)の森が昨年7月の豪雨被害から復旧し、初夏の風物詩である花しょうぶ祭りが14日から例年通り開催されることになった。日本最大級のハナショウブ苑を抱える水生植物園では畝や木道、散策道などが大きく損壊したが、1年を待たずに修復が完了した。祭りでは生き残った「奇跡の苗」を来場者に販売し、復興のシンボルとする。

 約6ヘクタールの水生植物園では600品種70万株のハナショウブが植えられている。現在は一分咲きで、今月中旬には見頃となり、紫や白のかれんな花が来園者を迎える。

 豪雨は昨年7月12日深夜から13日未明にかけて富山県内を襲い、砺波市は24時間降水量が観測史上最大の176ミリを記録した。

 頼成の森は施設の損壊やのり面の崩落など、被害は大きなものだけで約50カ所に上った。水生植物園は水が流れやすい地形にあるため、雨水が濁流のように押し寄せ、ハナショウブが流され、畝が崩れた。散策用の木道は水で浮き上がって外れ、園内の滝が壊れるなどした。

 頼成の森の服部耕一郎部長は豪雨後、現場に入り、被害の大きさにぼう然とした。それでも被害の実態調査を始め、関係機関と協力して復旧に取り組み、祭りを開催できる状態に戻すことができた。

 豪雨ではイベント用に育てていたハナショウブのうち、約3割が泥で埋まるなどしてだめになった。その後、大丈夫な苗を救い出して育ててきた。このうち、品種が混ざり、判別できなくなった苗について「混植苗」として祭りで販売することにした。どんな花が咲くか分からないことをセールスポイントにして応援購入を呼び掛ける。

  ●車でアクセス可能に

 頼成の森では、水生植物園につながる林道が7日から仮設道路で通行を再開する。陥没による改良工事の途中で、祭り期間の前後にあたる30日までの暫定措置となる。これまでは徒歩でしかいけなかったが、車でのアクセスが可能になる。

 花しょうぶ祭りは23日まで。服部部長は「復興した園内で、たくさんの人にハナショウブを楽しんでほしい」と話した。

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