多摩区 地域で見守り続ける 登戸の殺傷事件から5年 川崎市多摩区・川崎市麻生区

区内の小学校で児童の登校を見守る多摩署員ら=5月28日

多摩区登戸新町で児童ら20人が殺傷された事件から5月28日で5年が経った。多摩区では区役所や多摩警察署、多摩防犯協会、区町会連合会、区PTA協議会ら各団体が、事件発生後の翌月から毎月28日を「多摩区子ども見守りの日」と定めた。今年も同日、地域で見守り活動が行われた。

多摩区役所は毎月10日、20日、28日の下校時に青色回転灯を付けた公用車でパトロールを実施している。加えて、毎月28日は登校時にも同署と合同でパトロールを行っている。5月28日は佐藤直樹区長も乗車し、児童が登校する朝7時30分から8時30分頃にかけて地域を巡回。また、同署は同日朝、署員が区内全15小学校の正門前に立ち、あいさつをしながら登校する児童を見守った。

防犯協会は毎月1日、10日、20日に実施していたパトロールのうち、1日の分を事件後に28日へ変更し見守り活動を行っている。末吉一夫会長は「地域防犯は保護者をはじめ学校、自治会、地域団体、住民などが共に協力して活動していかなければならない」と話す。

区町会連合会は主催する区安全安心まちづくり推進協議会内で、区や同署、防犯協会、防火協会、交通安全協会、PTA、老人会、交通安全母の会らと共に、安全に関する協議を行っている。事件前からメンバーが子どもの交通安全のため交差点などで旗振りをしてきたが、事件後は登下校時の防犯パトロールも実施。コロナ禍の影響などもあり現在は活動が断続的になっている部分もあるというが一部町内会では継続されている。濃沼健夫会長は「あのような事件を二度と起こしてはならない。そのために最低でも1年に一度は事件を思い起こす機会を作り広報する必要がある。最近は学校開放などが進みつつあるが、ボランティアも含め、出入口などでの警備には十分な配慮が必要」と話す。

事件当時に区PTA協議会の会長を務めていた木村徹さんは、「答えのない問題かも知れないが、事件や事故に巻き込まれる児童生徒をゼロにするにはどうしたら良いのか、保護者や地域住民と話し合い、活動できたら」とコメントした。

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