諫早市ふるさと納税返礼品 「基準外」発送3万件か 産地偽装など調査結果

 長崎県諫早市のふるさと納税返礼品の一部に産地偽装などの基準外品が含まれていた問題で、市は6日、4種8品目が国の基準を満たしておらず、基準外品の発送は約3万件に上る可能性があるとする最終調査結果を明らかにした。
 「市内で生産されたもの」などとする総務省の基準を満たしていなかったのは▽シャインマスカット▽イチゴ(ゆめのか)▽グリーンメロン▽長崎和牛切り落とし-の4種8品目。
 市は、業者が基準を誤解していたことや、市の管理体制が不十分だったことなどが原因と結論付け、市内での生産状況や流通価格を確認することなどの再発防止策を示した。
 返礼品提供事業者は、START(スタート)(諫早市)=登録抹消=、同社に発注した委託事業者はGOOD POINT(グッド ポイント)(同)=契約解除=で、社長は同じ人物。市によると、グ社が債務不履行を認め市に和解金を支払うことで大筋合意し、市は6月定例市議会に和解議案を提出する。損害賠償請求をしないことについて、市は「市にも落ち度があった」などとしている。
 問題発覚を受け、市はス社に対し、2021年9月の登録から23年10月の受け付け停止までに扱った全62品目について産地証明などの提出を求めた。シャインマスカットについては発送した1万7456件のほとんどが、グリーンメロンについては255件全てが市外産だった。8品目以外に「新米」4品目については流通構造上、基準を満たしているか判断できなかったという。
 問題を巡っては、▽本県産ではない国産和牛を使っていたにもかかわらず、福岡県久留米市の食肉卸・加工会社が「ながさき和牛」と偽装▽佐賀市の青果仲卸業者が県外産のシャインマスカットを本県産と偽装-してス社側に納品していたことが、本紙の取材などで判明している。
 市は基準外の返礼品を受け取るなどした約2万9千人にメールなどで謝罪したが、「返礼品は寄付額の30%以下」との規定などを踏まえ返金や代替品発送はしない。調査結果を報告した市議会全員協議会で大久保潔重市長は「原点に立ち返って信頼回復に努める」と陳謝した。v

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