「企業版ふるさと納税」県内に3.3億円寄付 23年度、18自治体が過去最多

 企業が自治体の地方創生プロジェクトに寄付をすると法人関係税が軽減される「企業版ふるさと納税」制度について、山形新聞が県内自治体に聞き取りした結果、2023年度の寄付総額が約3億3千万円となった。前年度より減少したものの、2年連続で3億円を超えた。18自治体が過去最多の寄付額だった。制度は本年度末までの時限措置で、自治体からは延長を求める声が上がっている。

 県と市町村の寄付額(物納も含む)について、23年度寄付額の最多は西川町の6385万円で、山形市が5930万円、戸沢村が3712万円と続いた。上山、金山、真室川、三川の4市町は制度を利用していない。

 西川町は件数、金額ともに前年度の1.8倍ほど。町長が先頭に立って事業者に制度をPRしてきたという。最上町は道の駅整備事業への寄付が多く、10万円から1050万円に伸ばした。

 1件1億円の寄付があり22年度にトップだった新庄市は110万円。河北町は21年度から受け入れを始めたが実績はなく、担当者は「企業に積極的な営業をしてこなかった。本年度、本格的にスタートさせた」と説明する。

 19年度に県全体で2342万円だった寄付額は22、23年度とも3億円を突破した。各自治体は金融機関と取引先企業を紹介してもらう契約を結んだり、ポータルサイトに登録したりし、受け入れ拡大に力を注ぐ。

 24年度から制度に参加し、先日に第1号の寄付を受けた金山町は「新たな財源の確保策として、遅ればせながら取り組むことにした。制度を延長してほしい」と望む。件数、額ともに伸ばした県や山形市も制度の継続を国に要望するとしている。

企業版ふるさと納税(地方創生応援税制) 国が認定した自治体の地方創生プロジェクトに企業が寄付した場合、法人関係税が軽減される仕組みで、2016年度に始まった。最大6割だった軽減効果は20年度から最大9割まで引き上げられた。金額の下限は10万円。本社が所在する自治体には寄付ができない。

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