フィリピンメディアも“全米覇者”笹生優花に質問攻め 「もし2つの国旗を立てられるなら…」

公式会見に登場した笹生優花(撮影:ALBA)

<ショップライトLPGAクラシック 事前情報◇6日◇シービューGCベイC(米ニュージャージー州)◇6197ヤード・パー71>

先週の「全米女子オープン」で大会2勝目を挙げた笹生優花は、「ゴルフを楽しみたい」という気持ちで優勝直後の大会に臨む。年間で2試合しかない3日間大会だが、タフな戦いの後ということもあって「トーナメントが金曜日に始まるので、月曜日に休めたのは少し助かりました」と、この日程を歓迎する。

開幕前日はプロアマに出場し18ホールをプレー。その後はリモートも駆使した公式会見に出席した。そしてそこではフィリピンメディアからも多くの質問が集中。日本人の父とフィリピン人の母の間に生まれた笹生は、フィリピン代表として出場した2021年の東京五輪後に日本国籍を選択。前回、全米を制したのは21年6月だったため、今回は日本籍で初めて勝ったことになる。

それもあって、フィリピンメディアからは『国籍を移したことで、どのような変化があったか?』などの質問も投げかけられた。これに笹生は、「国籍を変えたからといって、私のプレーに影響はなかった。優勝できたのは、練習とチームのおかげ」と回答。また「私はずっと日本人とフィリピン人のハーフで、フィリピンにいる家族にも感謝している。もし自分の名前の横に2つの国旗を立てられるなら並べたい。フィリピンの代表であったときでさえ、私は常に日本人とのハーフだと考えていました」とも。このほか、フィリピンへの帰国のタイミングを聞かれるなど、英語にタガログ語も織り交ぜながらの会見は30分ほどに及んだ。

この反響の大きさについて聞かれると、「フィリピンだけでなく、日本でもアメリカでもたくさんのゴルフファンからうれしい言葉をいただいたのですごくうれしいです」と話す。“全米タイトル”がいかに特別か。それを改めて確認するような時間でもあった。

あすからの予選ラウンドは、全米で2位になった渋野日向子と同組になることが決まった。その渋野は「悔しい気持ちもありますけど、すごく刺激をもらったし改めて優花のすごさを知った」など、先週の結果が自分に及ぼす影響について話した。他の選手からも、同様の声が聞こえてくる。この状況について笹生は「プロゴルファーとしてやっていて、先輩からもそう言われるのはすごくうれしい」と誇りに感じている。

初制覇した21年からの成長について会見で聞かれた時には、「何も変わっていないと思う。唯一変わったのは歳をとったこと。LPGAでの経験も増えたし。それだけ」と回答した。偉業直後でも肩に力を入れず、普段通りにプレーする姿が今週も見られそうだ。(文・間宮輝憲)

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