海からまちへ、ごみを再生 関心の輪を未来につなぐ 藤沢市

リサイクル素材を使ったTシャツを持つ渡邉さん(左)、拾ったごみを紹介する伊藤さん

6月は「環境月間」。温暖化や資源減少など地球規模のさまざまな課題がある中で、藤沢市からも環境への取り組みが始まっている。ふじさわSDGs共創パートナーから、環境に特化した企業の取り組みを紹介する。第1回は、再生素材を活用したファッションブランドの運営やビーチクリーニングを行う合同会社「BLOOP」に話を聞いた。

「目指すのは『ガチ』な環境活動ではない」。同社を運営する伊藤紘之さん(37)と渡邉駿さん(35)はそう語る。プラスチック素材などをアパレル製品に再生した商品を扱うファッションブランド「AfterBlue」を通じて、気負わずに多くの人に環境問題を考えてもらう「きっかけ」を提供している。

商品は、廃棄された漁網から作られたTシャツや、ペットボトルキャップから作られたキーホルダー、海洋プラスチックを加工したピアスなど多種多様。「海のごみは海で捨てられるだけでなく、多くは市街地から流れてくる」と渡邉さん。廃棄物から生まれたおしゃれなアイテムを広めることで、人々に環境への意識を促す。「購入を通じて、思いに共感してくれる人は増えつつある」と実感を話す。

相模湾でのビーチクリーニングのほか、SNSで集った参加者と月に1度、辻堂東海岸で清掃イベントも開催。県外からの参加者もあり、関心を持つ人の輪が広がる。

藤沢で生まれ育った渡邉さんはサーフィンを始めてから海のごみの現状を知り、会社員から一念発起。2021年にブランドを立ち上げた。同じく藤沢出身で、別団体で環境問題に取り組んでいた伊藤さんが思いに共鳴して昨年合流。「リサイクル商品が数あるなか、ブランドで扱っている商品のデザインが秀逸だった」と伊藤さん。

「自分たちのやり方は対症療法だが、未来に引き継がれるまで、継続することが大事」と話す2人。誰でも気軽に参加できる環境活動の形を、これからも模索する。

【1】BLOOP(川名)

© 株式会社タウンニュース社