物価2%定着へ、「新しい資本主義」改定 インフレ予防狙う

Yoshifumi Takemoto

[東京 7日 ロイター] - 政府は7日、岸田文雄政権が2022年に看板政策として掲げた「新しい資本主義」の実行計画を再改定し、物価上昇率を2%で定着させる方針を盛り込んだ。政府は物価を2%へ引き上げることを目指してきたが、政府関係者によると、円安が続く中でインフレを予防する狙いがあるという。

実行計画を改定するのは昨年に続き2回目。今回は「年初来対米ドル円レートは1割程度円安が進んでおり、その影響は半年から1年かて物価上昇率に反映される可能性がある」と、円安が物価に与える影響に言及した。その上で、「政府と日銀は2%目標を持続的・安定的に実現することが求められている」と明記した。

また、映画やアニメなどコンテンツの海外展開加速を目指し、文部科学省や経済産業省、総務省などにまたがる所管業務をまとめるため、司令塔の役割を果たす官民の協議体を設置する方針も盛り込んだ。外務省や公正取引委員会、クリエイター、関係業界なども参加する。各省庁に分散する予算も統合する。

国際比較で見劣りする日本の生産性を引き上げるため、年功序列ではなく職務に応じて待遇するジョブ型人事の導入を進めることも明記した。終身雇用に固執しない若い世代の意向を反映する。

このほか、半導体産業について人工知能(AI)の高度化と消費電力の削減や、経済安全保障上重要な分野に対して重点支援を行う方針を盛り込んだ。

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