【阪神】〝復活〟佐藤輝明を伊勢孝夫氏が高評価 チームも上向き「ドン底抜け出すまで、あと一歩」

2回、中前打で出塁した阪神・佐藤輝

猛虎復活は目前か。阪神は7日の西武戦(甲子園)に5―1で競り勝ち、連敗は3でストップ。負ければ借金生活に突入するところだったが、投打が久々に噛み合い貯金を1に戻した。3週間ぶりに一軍へ復帰した佐藤輝明内野手(25)も「5番・三塁」として4打数2安打1得点。岡田彰布監督(66)から「しっかりゲームに集中できている」とお褒めの言葉ももらった。本紙評論家の伊勢孝夫氏も背番号8を高評価。「ドン底のチーム状態から抜け出すまで、あと一歩」と虎に太鼓判を押した。

【新IDアナライザー・伊勢孝夫】エース青柳も、守護神ゲラも、4番大山も成績不振でファーム調整中。貯金がつきた前夜のタイミングで「ここからが新たな開幕」と岡田監督は周囲に公言できていたわけだから、ある意味での余裕すら私は感じる。他のチームの監督ならまず、そうは言えていないはずだ。

まずはこの日から一軍再昇格を果たした佐藤輝について。何といってもテークバックからステップしていくスピードにゆとりができていた。これなら「間」もしっかりつくれるし、ツーストライクまで追い込まれても、余裕をもって難しい球に対応することが可能になる。カウント1―2から中前へ運んだ第1打席のヒットは見逃せばボールとでも判定されそうな球。そこにしっかり対応できていたことこそが何よりの証拠だ。

佐藤輝にとってもチームにとっても週末のこのカードが何よりも大切になってくるだろう。残り2試合で佐藤輝がいい形で長打を1、2本マークすることができれば、岡田監督も安心して「1番・近本、2番・中野、3番・森下、4番・佐藤輝、5番・前川」という限りなく開幕オーダーに近い形の打順を組むことができる。ここ数試合、4番には近本が入っているが、相手チームが最も嫌がるのは〝チカナカ〟による1、2番の並びだ。

幸いにも今季ここまでのセ・リーグは1位・広島から5位・DeNAまでが5ゲーム差内にひしめくダンゴ状態。交流戦残り9試合は5割前後のトントンで乗り切ることができれば御の字だ。勝負は7月の球宴明け以降。その頃には大山も状態を上げてファームから戻ってくる。そうなれば優勝争いの主導権は自然と岡田監督が握っているだろう。

(本紙評論家)

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