イサキは夏が旬…じゃない、梅雨の今が一番脂が乗って食べ頃 濃厚でクリーミーな白子は…もう絶品

「ライトチョロ釣法」で釣り上げた旬のイサキ=4日、桜島沖

〈あゆLOVEフィッシング―上園あゆみ〉

 雨が多くなるこれからの時季は、釣りに行く側からすると非常に悩ましい季節だ。しかし「梅雨の雨を飲んで魚がうまくなる」と言われるように、この時期から旬を迎える魚は多い。ウナギ釣りや今月解禁されたアユ釣りなど、釣りものが増えて楽しい季節でもある。

 旬を迎える魚の一つに、イサキがいる。幼魚にははっきりとした縦じま模様が入っていて、それがイノシシの子の模様に似ていることから、「瓜坊(うりぼう)」とも呼ばれる。また、ピンと立った背びれが鶏のとさかのように見えることから、漢字で「鶏魚」と書かれることもある。イサキは夏の魚というイメージがあるが、実は今の時季が夏の産卵に向けて一番脂が乗って食べ頃なのだ。とりわけ濃厚でクリーミーな白子は絶品!

 鹿児島県姶良市の重富漁港を発着する海拓丸で早朝、イサキ釣りに出掛けた。釣るのは、井之上拓人船長がいくつかの釣り方を組み合わせて編み出したという「ライトチョロ釣法」。かごやてんびんを使ったりする複雑な仕掛けではなく、糸に小さな重りと針をつけただけのシンプルな仕掛け。さおも手持ちのルアー用で十分だ。船からまき餌となるオキアミをまき、そこにオキアミをつけた針を同調させる。「イサキは棚を釣る」と船長。棚とは水深のことで、群れで行動するイサキは、いる棚さえ分かれば連続して釣り上げることができるそうだ。

 この日は潮が速く、なかなか仕掛けが安定しない難しい条件。船長の経験と勘で何度か場所を変え、朝9時半ごろからようやく調子が上がってきた。帰港する昼過ぎまでに20~35センチのイサキ15匹、50センチの大きなマダイも釣り上げることができた。イサキは透明感のあるピンクがかった白身が美しい。さばいてみると脂が浮き出るほどの極上品だった。今年は自分で釣ったイサキでだれやめなんていかがだろうか。

 ちなみに海拓丸が停泊している重富漁港では、毎週日曜午後4時から取れたての海産物を販売する「重富夕市」が開かれる。運が良ければ、船長が釣ったばかりのイサキも並ぶかも。

クーラーボックスいっぱいに釣れたイサキとマダイ
「ライトチョロ釣法」で今が旬のイサキを狙う=4日、桜島沖

© 株式会社南日本新聞社