18歳の小田凱人が全仏オープン車いすシングルスで2連覇達成!「パラリンピックでまたここに戻ってきます!」<SMASH>

いよいよ大詰めを迎えているテニス四大大会「全仏オープン」(フランス・パリ/クレーコート)は、現地6月8日に車いすテニスの男子シングルス決勝を実施。第2シードの18歳、小田凱人(世界ランク2位)が第3シードのグスタボ・フェルナンデス(アルゼンチン/同3位)を7-5、6-3で破り、見事大会2連覇を達成した。

昨年のこの大会でグランドスラム(四大大会)初優勝を飾った小田は、今年も順調に勝ち上がり、準決勝では三木拓也(同11位)に6-1、6-1で快勝。1セットも落とすことなく決勝にコマを進めた。

一方、第1シードで最大のライバルと目されたアルフィー・ヒューエット(英国/同1位)が準決勝でフェルナンデスにフルセットで敗れ、決勝は小田対フェルナンデスのカードに。両者の過去の対戦成績は小田の5勝2敗だが、直近の対戦である昨年11月にはフェルナンデスがクレーで勝利している。

試合はまず小田がペースを握った。腕っぷしの強さを生かしてパワーで押すフェルナンデスに対し、小田は“速さ”で対抗。思い切って前に入ってリターンを叩き、ウイナーを量産する。ラリーでもライジングで先に攻めては、積極的にネットを奪ってスイングボレーを決めるなど、速い展開のテニスを披露。

第3ゲームで最初のブレークに成功すると、常に先行して5-2とリード。そこからフェルナンデスの反撃に遭って5-5と追いつかれるが、終盤はまた小田が攻撃のギアを上げて7-5で第1セットを先取する。
第2セットに入ると小田はさらに加速する。果敢に前で叩くリターンで引き続きプレッシャーをかけ続け、第1、第5ゲームで相手サービスをブレーク。自身のサービスゲームでは深くコースを突いた配球でキープを続け、5-2から1つブレークを許したものの、最後はまたブレークバックを決めて6-3。1時間43分で試合を締めた。

小田はこれで全仏オープン2連覇を飾るとともに、グランドスラム4勝目を獲得。これはレジェンド国枝慎吾(28勝)、ヒューエット(8勝)、フェルナンデス(5勝)に続く史上4位タイの記録だ。まだ18歳であることを考えると、この先どこまでタイトルを積み上げていくか予想もつかない。

小田は表彰式のスピーチで「このクレーコートであなた(フェルナンデス)と対戦するのは大変です。本当にパワフルで、ラリーするのが大変でした」とまず相手を称えた。そしてファンに向けて「この試合を楽しんでもらえたならうれしい」と礼を述べた後、「またここにパラリンピックで戻ってきます!」と力強く宣言した。

2006年5月8日生まれの小田は、9歳の時に骨肉腫のため車いす生活となり、10歳から車いすテニスをスタート。14歳11か月18日の史上最年少でジュニアの世界ランク1位に上り詰め、22年4月にプロ転向した。GS初出場となった同年5月の全仏でベスト4入りすると、シーズン最終戦のマスターズでは最年少優勝。昨年の全仏では史上最年少でのグランドスラム制覇と世界1位就任を成し遂げ、続くウインブルドン、今年の全豪オープンと優勝を重ねていた。

構成●スマッシュ編集部

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