ガンジー像設置 長崎原爆資料館近くで最終調整    長崎市が近隣住民に説明   眼鏡橋そば断念 3月から再検討

ガンジー像の設置場所として、長崎市が近隣住民らへの説明を進めている一画=長崎市平野町

 長崎市が、インドから寄贈を受けるマハトマ・ガンジーの胸像を、長崎原爆資料館に近い平野町の一画に設置する方向で最終調整していることが8日、分かった。近隣住民らへの説明を慎重に進めている。2月末に観光名所「眼鏡橋」そばの中島川沿いに置く方針発表したが、市民の反発を受けて撤回。3月から設置場所を再検討していた。
 インドは昨秋、ガンジー像を「平和の象徴」として市に贈る意向を示し、当初は平和公園内への設置を希望。しかし市は「抽象的なモニュメントを受け入れてきたコンセプトにそぐわない」などとして、同公園内での設置を見送った。
 その後インドが提案した中島川沿いについて、市は長崎原爆の当初の投下目標地に近いことなどを理由に受け入れ、2月下旬に整地工事を始めた。ただ住民への説明や調整が不十分で、高さ2メートル超の像が周辺の歴史的景観に与える影響を懸念する声などが相次いだため、市は3月5日、設置場所の再考を表明した。
 複数の関係者の話を総合すると、再検討過程では平和公園内をあらためて見送り、中島川沿いも広く理解が得られないとして断念。新たな設置場所を探す中で、都市公園法で定められた平和公園区域のすぐ外で、原爆資料館などに近接する市道上が浮上したとみられる。車道や歩道に囲まれたエリアで、社会奉仕団体が市に寄贈した別の像などがある。
 当初は平和公園内を希望していたインド側の意向にも、一定沿った形での設置が可能。前回、設置方針を撤回した経緯も踏まえ、近隣住民らへの説明を重視して進めている模様だ。
 ガンジーは「非暴力・不服従運動」を通じ、英国からの独立を主導。広島市もインドからガンジー像の寄贈を受け、平和記念公園に近い元安川沿いの緑地に昨年設置した。

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