鎌倉市 カフェ運営会社を提訴へ 「耐震不足」理由も店側反論 鎌倉市

市が管理する公園内のヴィーナスカフェ=4日

鎌倉市は6月5日に開会した市議会に、市管理の鎌倉海浜公園内にあるヴィーナスカフェ(坂ノ下)の運営会社に対し、建物の明け渡しと損害賠償の請求訴訟を起こす議案を提出した。提訴について市担当課は「建物が耐震基準を下回り、公園施設として違うあり方を模索するため」と説明したのに対し、運営会社のメイン商事(株)は「耐震性に問題はない」と反論し、争う姿勢を示した。

1956年頃から使用される同建物は、映画『稲村ジェーン』やテレビドラマ『最後から二番目の恋』のロケ地として知られる。市によると、2021年に実施した耐震診断で基準を下回ったため、建物の使用許可を22年12月31日までとし、明け渡しと現状回復を求めた。これにメイン商事が応じなかったため、市は提訴の方針を固め、6月議会で承認を求める。松尾崇市長は5月27日の定例会見で、「長年の利用者には申し訳ないが、行政として見直す必要がある」と述べた。

メイン商事の吉澤治郎代表は、「1998年に新耐震基準に則った改築を行い、3年ほど前の専門家による耐震診断でも問題がなかった。市の問題があるという回答だけではつじつまが合わない」と反論し、市の診断結果に対して行政不服審査を申し立てている。

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