“満足したら終わり”が女王の矜持 2差2位の山下美夢有は「もっと、もっと上に行きたい」

山下美夢有は2位に入っても不満顔…(撮影:福田文平)

<宮里藍 サントリーレディス 最終日◇9日◇六甲国際ゴルフ倶楽部(兵庫県)◇ 6545ヤード・パー72>

16番からの上がり3連続バーディにも2年連続の年間女王は満足していなかった。6バーディ・1ボギーの「67」で回り、7位から今季4度目の2位フィニッシュ。「この順位で終われたのは良かったと思うけど、ショットがまだしっくりこない。結果も大事だけど、なかなか思い切ったプレーができない。3連続バーディも特には…。なんかもやもやしながら回っていました」。V逸の“もやもや”はもちろんあるだろうが、ショットに本来の切れ味が戻ってこないことが、笑顔が曇りがちになる一番の原因だ。

今季のパーオン率は71.88%。昨季は74.64で平均バーディ数1位の原動力となったショットの切れ味に不満は募る。今大会の4日間は68%に下がり、ボギーも8個叩いた。調子の良さを計るバロメーターは2年連続年間女王に輝いた昨年の自分。そこを下回る試合が続いているだけに、気持ち悪さばかりが大きくなる。

「もっともっと上に行きたいという気持ちがある。それができないと悔しい。納得する部分も必要だと思うけど、納得することはあんまりないです」

4番パー5は残り81ヤードの3打目をピン奥30センチにつけた。16番パー3も傾斜を転がることをイメージしたティショットはカップの横30センチで止まった。ギャラリーが大きくどよめくショットはあっても、「まだまだ」の思いが勝ってしまう。

パリ五輪の代表が決まる今月24日まで、残りは14日からの「ニチレイレディス」と20日開幕の海外メジャー「KPMG全米女子プロゴルフ選手権」の2試合になった。世界ランキングは日本勢4番手の25位。「今のショットではメジャーでも苦しむと思う。上位に行くには安定性が重要。しっかり直していきたい」。

同ランキング19位で日本勢2番手の畑岡奈紗が米ツアー「ショップライトLPGAクラシック」でまさかの失格となり、大詰めを迎えた原則2枠の代表争いはより混沌としてきた。2年連続女王を支えるのは生来の向上心。直近の目標であるパリを目指し、“満足したら終わり”が山下の体を突き動かしていく。(文・臼杵孝志)

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