「世界遺産」めざす佐渡島 絶景の「トビシマカンゾウ大群落」&「金山・桟橋・たらい舟」ツーリングレポ

佐渡島の大野亀周辺ではトビシマカンゾウの大群落が見られる(撮影:酒井 天里)

トビシマカンゾウは、国内では山形県の「飛島(とびしま)」と新潟県の「佐渡島(さどがしま)」だけに分布している植物で、5月下旬から6月上旬頃にかけて黄色やオレンジ色の美しい花が咲くことで有名だ。

佐渡島では景勝地の「大野亀(おおのがめ)」と呼ばれる巨大な一枚岩の周辺で大群落が見られることから、毎年多くの観光客が訪れる。

今回はトビシマカンゾウを求めて、2022年の6月初旬に佐渡島を訪れた時の様子をレポートしていく。

■佐渡金山が、2024年に世界遺産になるかも!?

佐渡島は新潟県西部に位置する島で、一周約280kmある本州最大の島だ。280kmのうち、沿岸部の約8割は「佐渡一周線(164.6km)」と呼ばれる道路が整備されており、都道府県道で一番の長さを誇る。

佐渡島には400年以上採掘が続けられてきた金銀山である「佐渡金山」があり、2024年7月にインドで開催される世界遺産委員会の審議結果によっては、世界文化遺産に登録される可能性がある。

世界文化遺産に登録されると、佐渡島に訪れる観光客が現状の1.2倍、約50万人に増えることが予想されており、交通や宿泊などさまざまな準備が進められている。

■フェリーで佐渡島へ渡り、ツーリング開始!

新潟港から佐渡汽船のカーフェリーに乗船した

佐渡島へは「佐渡汽船」が運行しているカーフェリーで新潟県上越市の「直江津(なおえつ)港」から島の南西に位置する「小木(おぎ)港」、もしくは新潟県新潟市の「新潟港」から島の中央東に位置する「両津(りょうつ)港」へ渡ることができる。今回は新潟港から両津港へ渡った。

新潟港を9時頃に出港して、約2時間30分で両津港に到着。この日は両津港から佐渡一周線をゆっくりと北上して「二ツ亀(ふたつがめ)キャンプ場」でテントを張り、その後大野亀でトビシマカンゾウを楽しむことにした。

佐渡一周線は、ひたすら海沿いを走る快走路。深い青色をした日本海を横目に、緩やかにアクセルを開けて進んでいく。日常のしがらみや疲れを忘れてリフレッシュできそうだ。注意点として、佐渡一周線は途中狭い箇所もあるため、対向車に気をつけてゆっくり走行しよう。

そして、ゆっくりと写真を撮りながら北上し、15時頃に佐渡島のほぼ最北端に位置する二ツ亀キャンプ場に到着。

ここからは「二ツ亀」と呼ばれる景勝地の絶景を見ることができる。名前の由来は「沖の島」と「磯の島」の2つの島が2匹のうずくまった亀に見えることから。

キャンプ場の料金は、大人1,200円、小学生600円。受付はキャンプ場下にある「SADO二ツ亀ビューホテル」で可能だ。

■まるで楽園!「大野亀」トビシマカンゾウの大群落

キャンプ場から大野亀までは、バイクで5分ほど。大野亀は、標高167mある一枚岩だ。麓にある鳥居から頂上まで参道がつながっているため、登ることも可能。しかし、安全上の理由で通行禁止になる可能性もあるので注意しよう。

筆者は17時頃に訪問したため、観光客もほとんどいない静かな雰囲気の中、トビシマカンゾウの大群落を楽しめた。

色鮮やかな花々が大岩の周辺に咲き乱れる様は、まさに楽園そのもの。遊歩道が整備されているので、バイクを降りて1時間ほどゆっくりと写真を撮って回った。

二ツ亀キャンプ場からは日本海に沈む夕日が見られる

たっぷり堪能した後、日没前にキャンプ場に帰着。夕飯のカップ麺を作るために必要なお湯をバーナーで沸かしていると、雲に隠れていた太陽が顔を出してくれた。斜陽に照らされた海とテントが絵になる風景だった。

■佐渡島のおすすめスポット

佐渡島2日目は、帰りのフェリーまでにめぐった筆者おすすめの佐渡島の観光スポットを3つ紹介する。

●おすすめ1 あめやの桟橋

「佐和田(さわた)海水浴場」にある「あめやの桟橋」。透き通った「真野(まの)湾」に向かって真っ直ぐに延びる桟橋はフォトスポットとして人気だ。

●あめやの桟橋

住所:〒952-1314 新潟県佐渡市河原田本町315

●おすすめ2 矢島体験交流館

佐渡島の入り組んだ岩礁でワカメやアワビをとるために考案されたのが「たらい舟」だ。「矢島(やじま)体験交流館」では、大人700円、小人400円で、10分ほどたらい舟に乗る体験ができる。

たらい舟は女性の船頭さんが漕いでくれるのだが、途中「漕いでみる?」と言われたのでチャレンジしてみた。船頭さんはスイスイと漕いでいたが、筆者が見よう見まねでやっても全く前に進まなかった。熟練の技術はすごい。

●矢島体験交流館

住所:〒952-0605 新潟県佐渡市小木365-1
開館時間:8:00〜17:00
TEL:0259-86-2992

●おすすめ3 佐渡金山

佐渡島の代表的なスポットである「佐渡金山」。金脈を掘り進めていくうちに山がV字に割れてしまった「道遊の割戸(どうゆうのわりと)」や、採掘に実際に使われていた坑道など、迫力満点の史跡を間近に見られる。

坑道は明治から平成元年まで使われていた「道遊坑(どうゆうこう)」と、江戸時代に使われていた「宗太夫坑(そうだゆうこう)」があり、どちらも大人1,000円で見学できる。両方見学可能な共通券は、大人1,500円となっている。

●佐渡金山

住所:〒952-1501 新潟県佐渡市下相川1305
開館時間:4月~10月 / 8:00~17:30、11月~3月 / 8:30~17:00
料金:(中学生以上)1,000円、2,500円、3,000円(小学生)500円、2,250円
TEL:0259-74-2389

■佐渡島は世界遺産になる前の今がチャンス!

2024年に佐渡島が世界遺産に登録されると、翌年からは訪れる観光客がどっと増えるだろう。そのため、佐渡島へのツーリングや旅行を考えている場合は、早めに計画を立てよう。

●佐渡島へのアクセス

佐渡島にバイクで渡るには、佐渡汽船のカーフェリーでアクセスしよう。2つの港からそれぞれ違う港へ行くことができるため、佐渡島をめぐる行程に合わせて慎重に選択したい。

※運賃は、旅客運賃と二輪車運賃の合算。
※運賃は、2024年6月のもの。

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