【梅雨入り前に登っておきたい】首都圏から日帰り可能&歩き応え抜群「おすすめ低山穴場ルート」3選

梅雨入り前に登っておきたい首都圏近郊の中低山を3つ、おすすめします(写真:矢島慎一)

夏山シーズンと梅雨入りを目前に控えた6月は、登る山選びが非常に難しい時期です。標高が低過ぎると真夏のような暑さに見舞われることもあるし、逆に標高が高過ぎると雪が残っていたり。

そこで、ここでは6月にちょうど登り頃を迎えるおすすめの山を3つ、紹介します。

■「西上州のジャンダルム」の名に恥じない面白さ

日本各地には、北アルプスの本家に準えて「ジャンダルム」と名付けられた難所が数多く存在します。西上州・大船山の南「西立岩」を周回するルート上にある痩せ尾根も、その一つ。

標高こそ1,000m少々ですが、本家よりもかなり手軽にアプローチでき(とはいえ、本格的な登山装備と経験は必須)、適度にスリリングなアスレチック気分も楽しめます。短い中にもさまざまな景色が詰め込まれた贅沢ルートです。

新緑に染まる烏帽子状の山頂は荒船山

関東百名山と群馬百名山にも選出されている1,265mの山頂は、切り立った岩の上なので高度感が抜群。南牧村の集落がミニチュアのように見えます。両神、雲取、甲武信などに加えて、反対側には烏帽子状の山頂が目印の荒船山の奥に、浅間山の姿も確認できるでしょう。

「西上州のドロミテ」という通称はちょっと大袈裟かなあ、とは思いますが、岩あり、滝あり、展望あり、歩きごたえありのとてもいいルートであることには違いありません。

■山の上にビーチがある! ロープウェイを賢く下山に使う穴場ルート

山の上に白砂のビーチが現われる不思議な景色

日本一の渓谷美を誇ると言われる山梨県の観光名所・昇仙峡。そのすぐ上には、山梨百名山にも選ばれている羅漢寺山があります。この山はロープウェイで稜線までアプローチが可能で、山頂駅から羅漢寺山(弥三郎岳)の山頂まではわずか15分程度と、手軽さが人気を集めている美しい山です。

しかし、さらに30分ほど先の小さな山頂まで足を延ばす方は多くありません。その山の名前は「白砂山」。名前の通り、山上に砂浜が突如出現する山なんです。

白砂の山といえば、登山好きにお馴染みなのが同じく山梨県にある日向山でしょう。砂浜の規模でいえばあちらに軍配が上がりますが、ここの砂浜からの景色も負けていません。しかも、アプローチが楽だし、なにより空いてるのが良いんです。

ルート取り次第で、レベルを問わず楽しめる山だ

ロープウェイを使うと簡単に上がれますが、それじゃあ歩き足りないし、せっかく山に行くなら人混みは避けたい。そんな方には、昇仙峡の入り口にある「長潭橋(ながとろばし)」から登り始めて、羅漢寺山に抜けてロープウェイで下りる4時間ほどのルートがおすすめです。

■カタクリの季節が終わっても、豊富な植物が楽しめる名低山

最後にもう一つおすすめしたいのが、奥多摩三山の一つにも数えられる御前山。春を告げるカタクリの花の群生で知られる山。しかし、北斜面は「奥多摩都民の森」としてよく整備されていて、カタクリの花が咲き終わった今の時期も様々な植物を楽しみながら歩くことができる好ルートです。

写真は5月の新緑時期に撮影したもの

ルート取り次第では、4時間ほどで山頂を往復することも可能。標高差はそこそこありますが、危険箇所も少なく、のんびりと植物を愛でながら歩くのにちょうどいいルートとなっています。

また、ルート上には主要なポイントに番号を振った地図が数多く設置されていて、わかりやすのもありがたいところ。

山頂を往復するなら、公共交通機関を利用する場合も車の場合も、北斜面を登る栃寄からが入りやすい。無料の駐車場も完備されています。御前山だけでは歩き足りないという方は、奥多摩駅まで鋸尾根を下ったり、御岳山や大岳山、三頭山まで繋げる強者もいるそうです。

とはいえ、初夏は足元よりも樹上の花が増えてくる季節。一生懸命下を向いて長く歩き続けるよりも、余裕を持ってあたりを見回しながらのんびり歩けるような計画を練ってみたい。そんな気にさせる山です。

山頂に設置されたカタクリの一生がよくわかる看板。勉強になります

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