【梅雨前に登りたい難読山】西上州の最高峰「御座山」って読めますか? 気になるシャクナゲの咲き具合もレポート

6月に登りたい大展望の山、御座山を紹介します(撮影:矢島慎一)

6月に入り、なんだか雨の日が増え始めたような気がしませんか。平年であれば、首都圏の梅雨入りは6月の2週目、梅雨明けは7月の3週目くらいが目安だそうです。

雨が降り続く梅雨入り前に、6月ならではの楽しみがある山に滑り込みで登っておきたい。そんな方におすすめしたいのが、西上州の最高峰である御座山です。

5月末に実際に歩いたルートを紹介しながら、おすすめ理由をいくつかお伝えします。

■大展望の日本200名山

西上州の最高峰である御座山の標高は2,112m。周りが開けた山頂からは、八ヶ岳連峰をはじめ、南アルプスや北アルプス、浅間山や奥秩父まで、360度の大パノラマが楽しめることで知られ、日本200名山の1つに選ばれています。さらに、この時期は山頂周辺のシャクナゲを目当てに登る登山者も多い山です。

ちなみに、正しい読み方は「おぐらやま」。「ござやま」ではありません。天皇が座る高御座(たかみくら)が名前の由来とする説もあり、昔から景色が良かったことが窺い知れますね。

■最短は栗生登山口からのルート

山頂に至るルートの選択肢は、山頂から見て北側にある長者の森、白岩登山口から入る2つと、南側にある栗生(くりゅう)登山口から登り始める3つ。

もっとも歩きやすく、アクセスもしやすいのは長者の森からスタートするルートですが、コースタイムは6時間弱、累計標高差も1,800m近くと、日帰りとしてはなかなか登り応えのある体力派向けの山です。

かなり樹齢を重ねていそうな大木がそこかしこに生える森の中を進みます

今回は、累計標高差は約1,500mとそれなりですが、コースタイムが少し短い(約4時間)栗生登山口から登ってみました。

登山口まで30分ほど登るバス停が下にありますが、一日数本しか便がないので、アクセスはマイカーが基本となります。ダートの林道を登り切った登山口周辺に10台ほど停められるスペースがあります。基本的に混雑しづらいルートですが、シャクナゲの時期の週末は駐車スペースが埋まることもあるので、駐車場所選びには注意が必要です。

■夏山シーズン前のトレーニングにうってつけ

急なパートには鎖が付けられているので安心

歩き始めから山頂まで、明瞭で登りやすい登山道が続きます。稜線に出る少し前にある鎖場と山頂周辺の岩場は注意が必要ですが、特別危険な場所はありません。

それよりもこのルートの核心は、ひたすらスイッチバックを繰り返して急坂を登り続けることです。なかなかの修行系ルートであることは、事前に覚悟のうえでお出かけください。夏山シーズン前に、しっかりとトレーニングを積んでおきたいという方にはうってつけです。

稜線に出るまでは、巨大な木々が立ち並ぶ森の中をひたすら登っていくのですが、道中唯一わかりやすいポイント、不動の滝はちょうどいい休憩スポットになるでしょう。冬は見事な氷瀑にもなるそうです。

その先は、ミツバツツジがちらほら咲く中をさらに登り続け、鎖の張られた岩場を通過して御岳神社が現れたら、山頂まではあと少しです。

山頂直下は岩の痩せ尾根もある

■山頂からの絶景は、おおいにご褒美感あり

ゴツゴツした岩の稜線を歩き、真新しい避難小屋を右手に進むと、やっと森が切れて視界が開けたところが山頂です。

ここまでずっと森の中を登り続けてくるため、ここから見られる壮大な景色はかなりのご褒美感があります。特に南から北まで丸っと見える八ヶ岳は圧巻です。

■梅雨入りまでに登っておきたいわけ

梅雨前の時期に登っておきたい理由としては、標高とルート的に梅雨明けはかなり蒸し暑くなりそうなことに加え、6月までは山頂周辺で白やピンクの美しい花を咲かせるアズマシャクナゲが見られるからです。

この花を目当てに、毎年足を運ぶ登山者も多いのですが、常連さんが言うには残念ながら今年の咲き具合はいまひとつとのこと。しかし、例年の凄さを知らなければ、十分満足できるくらいのシャクナゲが咲いていました。

■下山後のお楽しみも満喫しよう

こんな具合に、登山口の看板をスマホで撮影していけば割引してもらえる

下山後は、南相木村にある「滝見の湯」に立ち寄るのがおすすめです。

登山口の看板をスマホで撮影して受付で見せると、入湯料が100円引きになり、なんと400円で利用することができます(2024年5月現在)。温泉施設はとても綺麗で、湯船の種類も多く、しかもサウナ付き。これで400円とは、かなりお得があります。

食事やお土産探しは温泉の食堂もいいし、帰りしなに国道141号線沿いをパトロールするのも楽しいコースです。今回は、いつ覗いても地元民が多く集まっている人気店「レストラン141」で、名物の味噌カツと卓上コンロで焼き肉をしばいて帰りました。大満足。

ぜひ、雨が降り始める前に御座山へ足を運んでみてください。

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