「いま、ゴルフは簡単か?」 最強シェフラーへの“ぶしつけ”な問い

世界ランク1位の強さを見せつける今季5勝目(撮影/田辺安啓(JJ))

◇米国男子◇ザ・メモリアルトーナメント 最終日(9日)◇ミュアフィールドビレッジGC(オハイオ州)◇7569yd(パー72)

単独首位に浮上した2日目、スコッティ・シェフラーに“ぶしつけ”ともとれる質問が飛んだ。「いま、ゴルフは簡単ですか?」――。今季出場した12試合で4勝を挙げ、トップ10を外したのは1試合だけ。オーバーパーをたたくことすらまれな世界ランキング1位が今週も勝ち切るのか。2日目にして、そんな雰囲気が漂っていたことは確かだ。

「No」と苦笑したシェフラーは「『easy』という言葉は、間違いなく適切じゃない。僕がこのゲームを愛しているのは、その難しさだと思う。最高のゴルフコースで世界最高の選手と戦うのが好きだし、ここはとても難しいコースだ。いいプレーができる日もあれば、そうでない日もある。僕はただ、競うためにここにいる」と冷静に続けた。

風が吹いてグリーンがさらに硬くなった最終日は、まさにシェフラー好みの難しさ。「ナイスショットに対するご褒美が適切で、バッドショットに対する罰もちょうどいい。いいテストだった」。前半でひとつ落とし、4打あったリードをサンデーバックナインで同じ最終組のコリン・モリカワに1ストローク差まで詰められた。

「かなり怖かった」と言ったのは16番(パー3)。5mほど残したパーパットは、先にほぼ同じようなラインから打ったモリカワの3打目が参考になったという。「見ることができて助かった。かなりいい読みができた」とクラッチパットをねじ込み、力強くこぶしを握った。

サンデーバックナインでクラッチパットを沈めた(撮影/田辺安啓(JJ))

フェアウェイからでもセカンドを止められないほどタフだった最終18番は、外せばプレーオフが濃厚だった1.5mを決め切っての勝利。底力を見せつけた今季5勝目にも「世界1位になったからといって、歩みを止めるつもりはない」と表情を引き締める。慢心と無縁の姿勢は日々のトレーニングから。自宅のジムには幼少期の練習時にかぶっていたキャップを飾っているそうだ。

「自分が打ち込んだ全ての練習、打った全てのボール、太陽の下で汗を流し、いい選手になるために費やした全ての時間と努力を思い出すんだ。そうやって自分に小さな気付きを与え、さらに努力し続ける。汗まみれだったキャップはちょっと気持ち悪いけど、いいモチベーションになっているんだ(笑)」

メレディス夫人、先月8日に生まれたばかりの長男・ベネットちゃんの前で大会ホストのジャック・ニクラスからカップを受け取った。「本当にタフな試合だった。だからこそ、誰よりも忍耐強く努力した人が勝つ。それが僕の隣にいる男なんだ」。レジェンドから称賛された新米パパは誇らしそうに相好を崩した。(オハイオ州ダブリン/亀山泰宏)

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