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「ハーブは暮らしに役立ててこそ、楽しい!」と話すのは、長年にわたってハーブを育て、その利用法を研究してきた桐原春子さん。本連載では、毎回1種類のハーブを取り上げ、栽培方法や活用方法、歴史などを教えていただきます。今回は【ディル】です。
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独特の風味が魅力【ディル】
ディル独特の香りはピクルスの調味液などでおなじみ。
ふわふわとした葉と黄色の小さな花も印象的で、クッキングとガーデニングの両方に活躍してくれます。
別名/イノンド
科名/セリ科
性質/一~二年草
草丈/80~120㎝
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さわやかな風味の中にピリッとした刺激が
最近はスーパーでも見かけるようになり、一般家庭でもなじみになりつつあるディル。
「ヨーロッパから西南アジアにかけて自生し、古代エジプトで栽培されていた記述があります。紀元1世紀の書物には、疼痛を緩和し、消化をよくすると記されています。また、中世のヨーロッパでは魔女などから守るものとされ、祝祭日に戸口に吊るしたりしていたそうです」と桐原春子さんは教えてくれます。
現在も枕に入れたり、鎮静作用を期待して、ハーブティーの材料に使われることもあるといいます。
全草に独特の香りがあり、生の葉、茎、タネ、ドライにしたタネが、スパイスやビネガー、ピクルス液、肉や魚の香りづけに利用されます。桐原さんはその風味を「新感覚な味」と表現しますが、さわやかな中にピリッとした刺激を感じさせます。
「北欧や東欧でよく利用され、特にサーモンとの相性がよいことで知られます。クリームチーズと合わせておつまみにもいいですよ。ブルガリアではヨーグルトドリンクにディルを入れたものを体験しましたが、初めての味で新鮮な驚きでした」
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フェンネルとの混植は避けて
ディルは高さ80センチほどの茎が直立し、青緑色の羽状の葉は繊細な雰囲気で、観賞用としても美しいハーブ。
「鉢でも庭でも栽培でき、手前に草花を植えると、青緑色のキャンバスになってよく映えます。夏には黄色の小花を傘のように咲かせてきれいです」
日当たりと水はけのよい場所に植えると、こぼれダネで自然と増え、栽培の手間もあまりかからないのもメリット。
「ただし、フェンネルの隣に植えると交雑して香りが変わるので要注意」
草丈が伸びてきたら支柱を添えて
ディルの鉢植えをフォークロア調の鉢カバーに入れました。
ディルの茎は中空で倒れやすいため、伸びてきたら支柱を添えましょう。
こちらの支柱は、3本の枝の上部をワイヤで留め、ビーズを飾ったもの。こうやって手作りすれば、可愛さが倍増します。
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初夏〜夏に、黄色の小花が花火のように咲く姿も素敵です。
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活用アイデア① ピクルス&サーモンサンド
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ピクルスは市販品も多く出回っていますが、甘すぎるのが気になるという桐原さん。自家製なら、ディルのピリリとした風味が食欲をそそるヘルシーな一品に。
ディルシードは市販品でもOK。調味液は米酢と水を1:2にするのが基本で、漬かり具合は好みでどうぞ。
サーモンサンドのパンは好みのものを使い、サーモンと相性のよいディルを混ぜたマヨネーズ、ピクルスもはさみます。
ピクルスの作り方 (作りやすい分量)
❶鍋に米酢200ml、水400ml、塩大さじ1、砂糖少々を入れて火にかけ、沸騰寸前で火を止める。ベイ(ドライ)1枚、赤唐辛子1本、ディルシード少々を入れて冷ます。
❷きゅうり、かぶ、みょうが、ミニトマト、パプリカ(赤、黄)各適量を食べやすい大きさに切る。清潔な瓶に詰め、12㎝程度のディルの茎、葉2本を差し入れる。①を野菜類がひたるように注ぎ入れ、冷蔵庫に入れて3日以上おく。
サーモンサンドの作り方 (2人分)
❶ディルの葉少々をみじん切りにし、マヨネーズ適量に混ぜる。
❷ロールパン2個に横に切り目を入れ、ピクルス、サーモン、レモンの輪切り、ディルの茎、葉各適量と、①をはさむ。
活用アイデア② ディルのタラトール風
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桐原さんがブルガリアで体験した、ヨーグルトとディル、きゅうりを組み合わせた飲み物がタラトール。
現地ではヨーグルトと水を同量にし、塩、こしょうで味つけしてオリーブ油をたらします。夏場はおろしにんにくを加えて活力剤にするとか。
日本人にはなじみのない不思議な味だったので、桐原流にアレンジしたら食べやすくなりました。
ディルの強い香りがツンとくるので、ヨーグルトに入れる際は適量を守って。
作り方(1人分)
❶ローストしたくるみ1個を小さく砕く。きゅうり少々を小さく切る。
❷ディルの葉小さじ1を粗みじんに切り、プレーンヨーグルト1カップに混ぜ、器に入れる。
❸②に、①、ブラックオリーブ1個、ディルの茎、葉適量をのせ、オリーブ油、塩、粗びき黒こしょう各適量を加える。
撮影/川部米応、松木 潤(主婦の友社)
※この記事は「ゆうゆう」2021年8月号(主婦の友社)の記事を、WEB掲載のために再編集したものです。
※2023年9月17日に配信した記事を再編集しています。
監修者
園芸研究家 桐原春子
英国ハーブソサエティー終身会員。長年、自宅でさまざまな植物を育て、家庭での実用的かつ美しい庭づくりを提唱。国内外の多くの庭を訪れ、ハーブの歴史、育て方、利用法を研究。カルチャースクールでハーブ教室の講師を務める。『知識ゼロからの食べる庭づくり』(幻冬舎)など著書多数。ブログ「桐原春子のハーブダイヤリー」やインスタグラムでも情報を発信中。