【ガーデニング】育てて楽しい多年草ハーブ【エキナセア】の栽培方法と活用アイデア2選

「ハーブは暮らしに役立ててこそ、楽しい!」と話すのは、長年にわたってハーブを育て、その利用法を研究してきた桐原春子さん。本連載では、毎回1種類のハーブを取り上げ、栽培方法や活用方法、歴史などを教えていただきます。今回は【エキナセア】です。

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本連載の他、桐原春子さんの記事はをご覧ください。

近年、注目のハーブの一つ【エキナセア】

エキナセアは免疫機能を高める働きがあるとして近年、注目のハーブです。

花も美しいため夏から秋のガーデンでも人気。なじみのない方はぜひこの機会に親しんでみてはいかがでしょう。

別名/エキナケア、パープルコーンフラワー
科名/キク科
性質/多年草
草丈/75~90㎝

サプリメントで人気の高いハーブ

エキナセアはアメリカの南西部および中央部が原産で、先住民が利用していたハーブとして知られます。

桐原春子さんによると、「先住民の間では病気や傷を治す植物として利用されてきました。それをヨーロッパ人が本国へ持ち帰り、花が美しいことから人気となり、園芸品種も生まれました。北米では一時、乱穫のために数が減ったようですが、英国からの再流入で花が増えたそうです」。

現在では、エキナセアに免疫力向上、抗菌、抗ウイルス作用があることがわかり、サプリメントやティーに盛んに利用されています。

「ハーブとして利用できるのは原種のプルプレアの開花期の地上部とアングスティフォリア、パリダの根部の陰干ししたもので、ティーは風邪予防にもよいといわれています」

色とりどりの花がコレクター心を刺激

エキナセアは夏から秋の庭を彩る花として世界中で愛されています。桐原さんもガーデニングやクラフトに積極的に利用しているそう。

「私はポタジェ(野菜畑)の前に植えていますが、華やかな花が長く咲くので庭に欠かせない存在です。品種も多いのでいろいろ欲しくなってしまい、コレクターの血が騒ぐ植物のひとつといえますね」

秋遅くまで花が残り、長く楽しめるのもうれしいところ。

「花名はウニ、ハリネズミに由来しますが、ツンツンとした花芯を生かしたクラフトも楽しいものです」

暑さ、寒さに強く、日当たりと水はけのよい、肥沃な場所だと年々株が増えます。

「芽出しの時期に肥料を与えると、花数が増えます。花後に切り戻して軽く肥料を与えると再び咲きます」

園芸品種は花色もさまざま

エキナセアの代表種であるエキナセア・プルプレアのポット苗をシンプルな陶器の鉢カバーに入れました。

頭頂花と呼ばれる花芯の部分が円錐状にとがり、花弁が次第に垂れ下がるのが特徴的です。

下の ‘グリーンジュエル’ をはじめ、赤、白、オレンジ、黄、八重咲きなど多彩な園芸品種が出回っています。

‘グリーンジュエル’

活用アイデア① エキナセアと香りのハーブのモイストポプリ

エキナセアの可愛い花形とピンクの花色を存分に生かしたモイストポプリ(ハーブを粗塩に混ぜたり、上にのせたりして作るポプリ)。

エキナセアは甘い蜜の香りがしますが、レモングラスとローズマリーを使っているため、強くさわやかな香りでいっぱいに。

女性のお守りともいわれる石・ローズクォーツもプラスしました。

テーブルにはエキナセアの花々と市販のエキナセアティーも。ティーはハーブ専門店などで簡単に入手できます。

暮らしにエキナセアを取り入れ、心身を健やかに保ちましょう。

作り方

❶長さ10cm程度のローズマリーの枝から葉を取る。適当な長さに切ったレモングラスの葉を5本用意し、1本ずつ丸めて小さなリース状にしたものを5つ作る。

❷ポリ袋に粗塩1カップを入れ、①のローズマリーの葉を加えて混ぜ、袋の外から手でもんでローズマリーの香りを塩に移す。

❸②を皿に敷き、エキナセアの花、短めに切ったローズマリーの枝いずれも適量と、①のレモングラスのリースをのせ、真ん中に卵形のローズクォーツを置く。

活用アイデア② エキナセア人形

桐原さんがエキナセアのクラフトを初めて見たのは、1980年代、イギリスの小さな村のハーブガーデン。花芯を生かしたハリネズミの人形で、以来ずっとその姿が頭に残っていたとか。

「インスパイアされて、似ても似つかないけれど自分らしい人形を思いつき、作ったのがエキナセアのおばあさん(左)と孫の女の子(右)です」

おばあさんは花弁が垂れるエキナセア・パリダを、孫はエキナセア・プルプレアを使って。時間がたつと花芯が黒くなり、残った花弁はドライの風合いが出て、より味わい深くなります。

作り方

❶ストッキングを5cm角に切る。手芸わたを1cm程度の球形に丸めて、ストッキングの真ん中に置く。てるてる坊主の要領で、わたを包むようにしてストッキングを糸でしばる。ストッキングが余ったら、しばった糸の下で切る。

❷ラフィアや毛糸などを髪の毛に見立て、①に接着剤で貼りつけ、ボールペンや色鉛筆などで目や口を描く。好みで帽子や、ワイヤで作ったメガネなどをつけても。

❸②の首の部分に接着剤をつけ、エキナセアの花芯に貼りつける。

撮影/川部米応

※この記事は「ゆうゆう」2021年9月号(主婦の友社)の記事を、WEB掲載のために再編集したものです。

※2023年9月10日に配信した記事を再編集しています。


監修者
園芸研究家 桐原春子

英国ハーブソサエティー終身会員。長年、自宅でさまざまな植物を育て、家庭での実用的かつ美しい庭づくりを提唱。国内外の多くの庭を訪れ、ハーブの歴史、育て方、利用法を研究。カルチャースクールでハーブ教室の講師を務める。『知識ゼロからの食べる庭づくり』(幻冬舎)など著書多数。ブログ「桐原春子のハーブダイヤリー」やインスタグラムでも情報を発信中。

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