「机上の空論」厳しい声も…燃料デブリ試験的取り出しへ 県内初の住民説明会 福島

東京電力福島第一原発では、溶け落ちた核燃料=燃料デブリについて今年8月から試験的な取り出しが行わる予定です。9日、取り出しに向けて福島県内で初めての住民説明会が行われましたが、参加者からは「机上の空論だ」などと厳しい意見が聞かれました。

廃炉作業が進む福島第一原発。一番の課題となっているのが、溶け落ちた核燃料=燃料デブリの取り出しです。1号機から3号機には、880トンの燃料デブリがあるとされていて、東京電力は、早ければ今年8月から試験的な取り出しを始める予定です。

こうした中、9日、田村市では、国の専門機関による初めての住民説明会が開れました。

担当者「地域のみなさんの不安を教えてもらうような場を今後継続的に設けていきたい」

説明会では、検討が進められている空気中で作業する「気中工法」と充填剤で固めて掘削する方法を組み合わせた案などが説明されました。質疑応答では取り出しの開始時期が迫る中、正式な方法が決まっていないことについて、参加者から厳しい意見も…。

参加者「何も進んでいないということが分かった。結局まだ机上の空論」 参加者「(試験的取り出しが)8月から始まると言っているが、そう考えるともうちょっと突っ込んだ話になると思った。(燃料デブリを)耳かき1本分取り出したところでそれをどのようにするのか」

原子力損害賠償・廃炉等支援機構 更田豊志上席技監「技術者同士で話をしているとこういった会話にはならない。そういった意味でああいった声が聞けたことは非常に良かったと思う」

説明会は、今後も原発事故の被災自治体などで行われます。

デブリ取り出し 3つの方法検討

説明会で批判もあったデブリの取り出しについて、国の専門機関は、本格的な取り出しを3号機から始めるとしていて、3つの方法が検討されています。

まずは「気中工法」、燃料デブリが空気中に露出した状態、もしくは低水位で水につけた状態で取り出す工法です。内部の状況にあわせて回収方法を選べる一方で、多くの種類の装置が必要になります。

2つ目の「冠水工法」は、原子炉建屋全体を新しい構造物で囲い、建屋内を水で覆い取り出す工法です。

3つ目は、セメントのような充填材というものを流し込んで、デブリを固めて取り出す方法です。こちらは、放射性物質の飛散を抑える効果が期待されます。

国の専門機関は、冠水工法については水によって放射線を抑えることができる一方、大規模な工事が考えられることから、今年3月に気中工法を軸に、充填材の工法を組み合わせて取り出す考えを示しています。

そして、今後の廃炉のスケジュールについて、早ければ今年8月から2号機で試験的な取り出しが行われます。

こうした中、内堀知事は10日の定例会見で「様々な知見を取り入れながら適切な手法を検討してほしい。また、県民目線に立った分かりやすい情報発信に取り組んでほしい」としています。



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