3役演じる松本幸四郎、13役演じる市川團十郎に“ライバル心”「どうやって太刀打ちするか」

取材会に出席した市川染五郎(左)と松本幸四郎【写真:ENCOUNT編集部】

夜の部出演の幸四郎「本心は、『絶対こっちの方が面白い』という気持ち」

歌舞伎俳優の松本幸四郎、市川染五郎が10日、東京・中央区の歌舞伎座タワーで行われた「歌舞伎座『七月大歌舞伎』夜の部『裏表太閤記』」の取材会に出席。同月に昼の部に出演する市川團十郎に“ライバル心”を見せた。

7月の歌舞伎座公演では夜の部で、幸四郎や染五郎が出演する豊臣秀吉の出世物語『太閤記』をもとにした『裏表太閤記』を上演する。同作は、秀吉の活躍が光る“表”の物語と、その輝かしい光の陰にある秀吉のライバル・明智光秀らの悲劇的な“裏”の物語を織り交ぜている。2023年9月に亡くなった故・二世市川猿翁さん(三代目市川猿之助)が、昭和56(1981)年に初演して以来、実に43年ぶりの上演となる。初演以来、一度も上演されていない“伝説の舞台”とされている。今回は内容を変えてバージョンアップし、幸四郎が豊臣秀吉、鈴木喜多頭重成、孫悟空の三役を勤める。さらに幸四郎による宙乗りや早替り、幸四郎と共演の尾上松也による大滝での立廻りなど、ケレン味あふれる演出が盛り込まれている。

同じ7月歌舞伎座公演の昼の部では、市川團十郎が『通し狂言 星合世十三團 成田千本桜』を上演する。こちらは團十郎が十三役早替りを行う。

同日に豊臣秀吉や孫悟空の衣装を着用した扮装写真が公開となったが、幸四郎は、「昼の部のスチールが早々に出たので、急いで撮らなきゃと焦ってたところもある」と昼の部を意識。「ある意味、昼夜とも、くっきりと分かれた通し狂言ですので、どちらも楽しんでいただきたい。本心は、『絶対こっちの方が面白い』という気持ち(笑)」とライバル心を見せ、会場を笑わせた。

「お互い、そう思ってやるほうが健全ですよね」と語りつつも、「でも(團十郎は)13役ですからね~。こっちは3役だからねぇ。野球だったらコールドゲームでしょ。どうやって太刀打ちするか」と弱気な一面を見せ、笑いを誘った。「そういう通しのものを(昼夜で)するというのも、歌舞伎座にとっても挑戦だし、全員にとって挑戦ですね」と意気込んだ。ENCOUNT編集部

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