金融管理局総裁「資金流出はデマ」

国家安全保障法律フォーラムの座談会セッションで、香港金融管理局(HKMA)の余偉文・総裁は香港の財政的優位性について語った。6月9日付香港各紙によると、余総裁は「香港はその独特の政治的・地理的優位性を通じて中国本土と世界を結びつけることができる。中国の開放政策はすべて香港を通じて実施され、香港は緩衝地帯およびファイアウォールとみなされ、チャンスを提供すると同時に国の金融安全をさらに保護することができる」との見方を示した。

余総裁は「香港の金融システムの強靱性は香港、国家、世界の安定にとって非常に重要であり、安全で安定した香港は金融市場の発展を促進する。またビジネス環境は政治的、法的、社会的安定の影響を受ける」と言及。余総裁は2019年に就任した際を振り返り、当時は香港の金融不安に関する多くの噂がソーシャルメディア上で広まり、金融システムが崩壊し、香港から資金が流出し、香港ドルが下落すると主張する人や銀行に預けた資金を引き出すよう扇動し市民のパニックを引き起こそうとする人もいたという。香港版国家安全法は、デマやそれがもたらす社会不安にとって極めて重要な鍵となり、香港の金融界はすでに成長を再開したと指摘した。

余総裁は、香港の金融市場は良好に機能しており、資産運用の50%以上を外部資金が占めており、ファミリーオフィスの数も今年24%増加したと述べた。さらに過去5年間で銀行預金総額が24%以上増加したと述べ、「資金が香港から流出した」という言い方が事実と一致していないことを証明したと指摘。香港には「一国二制度」のほか、バイリンガル制度、普通法による司法の独立、豊富な人材、資本の流動性といった独特の利点があり、その独特の政治的・地理的利点を通じて香港は本土とつながっており、本土の開放政策の多くは緩衝地帯やファイヤーウォールとみなされる香港を通じて達成されてきたと説明した。

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