「車の中で『必ず刺す』と」横浜・女子大生刺殺事件が初公判“路駐トラブル常連”の交際相手に奪われた元子役少女の人生

伊藤龍稀被告(写真・梅基展央)

6月10日、横浜地裁で、2023年6月29日に横浜市鶴見区で発生した女子大生の冨永紗菜(さな)さん(当時18)が刺殺された事件の初公判がおこなわれた。

殺人などの罪に問われている元交際相手の伊藤龍稀(はるき)被告(23)は、裁判長から起訴内容について問われると「(間違いは)ないです」と泣きながら答えた。

地元・横浜市内の私立大学に通っていた冨永さんは、事件直前まで伊藤被告と交際していた。

伊藤被告と同じアパートに暮らしてた当時の住民は、

「一度、冨永さんが伊藤容疑者の家のドアとインターホンを叩いて、大声で叫んでいるのは見たことがある」

と明かしており、交際のもつれから犯行に至ったとみられていた。

検察は冒頭陳述で、車のドライブレコーダーに、伊藤被告が事件当日「必ず刺さないと」と話す様子が記録されていたことを明かした。

事件前、伊藤被告については車にまつわる近隣トラブルの印象も強かったという。当時、取材した伊藤被告の自宅の近隣住民はこう話す。

「ほぼ毎日、アパート前の道に(運送業者を表わす)黒ナンバーの車を路上駐車していたんです。本当に邪魔で、何度も警察に通報しました。すると数m、位置を変えて……と、イタチごっこでした。車種もよく変わるんです」

2人の交際はどのように変化していったのか――。

14歳ごろまで芸能界で活動していた冨永さんは、SPEEDの上原多香子(40)の主演舞台『光と影からの恵み』(2017年)にも出演。

上原の夫のコウカズヤ氏(46)が作・演出を手がける劇団の舞台には、何度も出演していた。

芸能界から離れた後は、私立高校に通うも中退し、通信制高校で高卒認定を取得して、事件の年の春から地元の大学に通い始めたという。

当時、冨永さんの友人は「バイト先の蒲田の飲食店の店長が、彼(伊藤被告)だったんです」と明かしていた。

交際関係が良好だった時期もあったという。

伊藤被告と冨永さんは、事件現場に近い伊藤被告の自宅近辺でたびたび目撃されており、事件前の2023年初頭から2人が週1回ほど通っていたというラーメン店の店主は当時、こんな様子を話していた。

「冨永さんはいつもすっぴんで、部屋着のようなダボッとしたTシャツで来ていました。

伊藤容疑者はチャーシュー麺の大盛りを頼むなど、いつもよく食べるんです。だから、逮捕直後の映像を見たら、かなりやせたように感じて驚きました。

冨永さんはとろろご飯だけを注文し、小鉢に彼のラーメンを少しわけてもらって食べている感じでしたよ」

しかし、その後、通い出した大学では冨永さんは「彼氏」について話すことはほとんどなかった。

事件当日、冨永さんの実家マンションまで出向き、その敷地内で犯行に及んだ伊藤被告。弁護側は、初公判で「突発的だった」と計画性を否定した。

交際男性によって破壊された、元子役女性の人生。判決は6月21日に予定されている。

© 株式会社光文社