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3日から始まった日本代表の6月シリーズも、11日のシリア戦がラストとなる。
「3バックは明日のシリア戦でもトライしたい。メンバーも(6日の)ミャンマー戦から大幅に入れ替えて戦いたい」と森保一監督が前日会見でコメントした通り、攻撃的3バックを継続したうえで、スタメン総入れ替えで挑むと見られる。
GKは大迫敬介(広島)、最終ラインは冨安健洋(アーセナル)、板倉滉(ボルシアMG)、町田浩樹(ユニオンSG)と東京五輪世代が集結。ボランチには遠藤航(リバプール)と田中碧(デュッセルドルフ)が入るだろう。
左右のウイングバックは、前田大然(セルティック)が前日になって別メニュー調整を強いられたことから、相馬勇紀(カーザ・ピア)が左に回り、右は堂安律(フライブルク)の見通し。2シャドーは南野拓実(モナコ)と鈴木唯人(ブレンビー)というフレッシュなコンビになりそうだ。
そして1トップは、上田綺世(フェイエノールト)が陣取ることになる。
「相手は熱量を持ってくると思う。僕らもスタートから思い切りやらなきゃいけないし、構えたら(流れを)持っていかれると思うので、僕らも勢いを持っていきたいですね」と、エースFWと位置づけられる男は気合を入れた。
シリアは目下、勝点7でグループ2位。ただ、6日の北朝鮮戦を0-1で落としており、日本に負けて、北朝鮮がミャンマーに勝てば敗退の憂き目に遭う。かつてインテルやバレンシアで名を馳せた名将エクトル・クーペル監督が率いる集団は、日本に勝ち切るべく、あらゆる手段を駆使して戦ってくるはず。
先のアジアカップで日本を破ったイラクやイランのように、縦に長いボールを蹴り出す可能性も少なくない。
「シリアがフィジカル的にもパワフルなサッカーをしてくるのは間違いない。引き込まれた相手にチャンスを作るのは簡単じゃないですけど、中盤やウイングの選手が絡んで良い攻撃ができればいいし、ミャンマー戦でももっと得点できたと思う。そういう形を増やすことが自信にもつながる。結局は得点できるかが一番大事だし、自分もそこが求められるので、常に狙っていきたいですね」
上田は自らが2点をマークした昨年11月の前回対戦と同様、自らの一撃でいち早く勝負を決めにいく構えだ。
3-4-2-1の布陣であれば、ミャンマー戦のようにサイドからの突破を軸に、クロスボールが増えるという期待も大きい。それがうまく合えば、上田の得点確率も上がる。特に右サイドに堂安が入るのであれば、右からの攻めがより活性化するだろう。
「(小川)航基(NEC)君も僕もクロスからの攻撃を好んでいますし、良いウインガーがいるので、ここにいる選手もいない選手も縦突破はできる。彼らがクロスの本数を増やしてくれれば、チームとしての攻撃の幅も広がる」と、彼自身も前向きにコメント。DFとGKの間に鋭く飛び出すなど、一瞬の隙を逃さない動き出しから虎視眈々と得点を狙っていくつもりだ。
【動画】ゴール裏で撮るのマジ怖い... 上田綺世の強烈すぎるシュート4連発!
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シリア戦で目に見える結果を出せば、上田も大きな自信を得られるはず。代表3試合で5ゴールと小川が破竹の勢いを見せていることを考えても、上田は自らの地位を固めるべく、よりゴール量産態勢に入らなければいけない。
2023年は7点、24年はここまで4点と代表で着実に数字を積み重ねているなかで、「大事なところでチームを勝たせられるゴールを決められるフォワード」になることも重要。かつてのカズ(三浦知良)や岡崎慎司のような勝負強さを強く求めたい。
そんな上田にとっても、今回のシリア戦は今季のラストマッチ。昨夏にフェイエノールトに赴いてから1年が経過し、十分な出場時間とゴールを得られたとは言い難い部分もあるが、リバプールの新指揮官となる知将アルネ・スロット監督の要求に応えるために、貪欲にトライ&エラーを繰り返してきた。
その成果がシーズン終盤の3連続得点ではないか。1つの壁を乗り越えた上田は、一段階上のステージに飛躍したと言っていい。
「ポストプレーに関しては、多少の苦手意識みたいなのは薄れたかなという程度ですね。自分的にはクオリティはまだまだですし、自分のイメージするポストプレーの質やタイミングが掴めていないから。でも、今後もそういう仕事は数多く求められる。失敗を重ねて経験を積みたいと思っています。
今季のフェイエではポスト役と得点のバランスが一番苦しんだ部分ではあります。ビルドアップに参加しながら、ゴール前で結果を残すことがすごく難しかった。そこはまだ模索中ですけど、ポストプレーが安定すれば、それも見えてくるかなと。いろんなところで調整していきたい」と本人も目を輝かせた。
もがき苦しんだ日々を経て、代表の1トップとして前線で起点を作り、多彩なゴールパターンを見せられれば、「最終予選は上田を軸に戦える」と森保監督も絶対的な信頼を寄せるはず。それを決定づけるパフォーマンスを背番号9には期待したいところだ。
日本が強くなるには、絶対的FWの成長が必要不可欠。それを自覚しつつ、彼にはシリア戦で「違い」を示してほしいものである。
取材・文●元川悦子(フリーライター)