被爆者の証言映像を新たに公開 現地訪ね、当時を語る 長崎平和推進協会のユーチューブ

上映会であいさつする森田さん(手前)と三瀬さん=長崎市平野町、長崎原爆資料館

 長崎平和推進協会が制作する被爆者の証言映像シリーズ「8月9日の記憶」の2023年度制作分4本の公開が、同協会ユーチューブで始まった。被爆当時4~10歳だった4人が、長崎原爆に遭った現地などを訪ねながら、当時の状況や戦後の歩みを語る。平和学習用のDVDも貸し出す。
 「8月9日の記憶」は、被爆者の高齢化が進む中、証言の記録を映像で残そうと20年度から毎年4人ずつ制作。同協会が修学旅行生らに実施する被爆体験講話で、高齢の被爆者が直前に体調を崩し、講話ができなくなった場合などに備えた教材としても活用する。
 新たに制作したのは▽森田宏さん(当時10歳)▽三瀬清一朗さん(同10歳)▽市丸彪さん(同8歳)▽小峰秀孝さん(同4歳)-の証言映像。ナレーションや資料写真なども交えて20分程度にまとめた。
 完成した映像の上映会が8日、長崎市内であり、森田さん(89)と三瀬さん(89)も出席した。森田さんは「現在も体験講話を続けているが、子どもたちは熱心に質問してくれて、やりがいを感じる。命の続く限り続けていきたい」と語った。三瀬さんは「4人の映像を見て、それぞれの被爆者に違ったドラマがあると実感した。ウクライナ、パレスチナと世界は揺れ動いている。戦争で犠牲になるのは市民であり、子どもたち。一日でも早く世界平和が実現することを望んでいる」と願った。

長崎原爆遺跡の浦上天主堂旧鐘楼前で当時の記憶を語る市丸さん(ユーチューブより)

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