有害図書集める「白ポスト」必要? 回収量は年々減少…意図しない使い方も 長崎

試験的にポストを閉鎖する職員=長崎市銅座町

 青少年に悪影響があるとされる成人向けの本類やDVDを回収するための「白ポスト」。県単位で設置するのは九州では長崎県のみとなり、回収量はインターネットの普及などで年々減少。ごみの不法投棄など意図しない使い方もされているため、長崎市は試験的に一部の白ポストを閉鎖し、必要性を検討している。
 6月初旬、白ポストの中身の回収作業に同行した。市内に13カ所あり、年3回、市こども相談センターの職員や少年補導員らが集め、焼却場で処分する。
 多くの車が行き交う中央橋バス停そばのポスト(築町)。同センター職員が鍵を開けると、女性の裸の写真が載った雑誌のほか、新聞、冊子、ちらしなど数点出てきた。10年以上前、回収担当だった同センターの山鹿義弘さん(61)は「昔はポストからあふれるほどあった」と振り返る。
 近年、デジタル化などで有害図書とされる本類が店頭から姿を消しつつある。市内の回収量も年々減り、昨年度は2227点で10年前の約半分に。この日は9カ所で計534点を集め、うちDVDが351点を占めた。成人向けの画像や動画などがネットで簡単に検索できる時代、同センターの川口邦春所長は「教育現場でのネットリテラシー教育に、さらに力を入れていかなければ」と話す。
 市内最大の夜の繁華街、銅座町にあるポストは回収量が過去10年間で最も少なく、昨年度はわずか7点。しかし、ごみの投棄が多く、この日は漫画やVHSのビデオテープなど計19点に加え、ティッシュや菓子の包装紙が出てくると、回収していた職員は顔をしかめる。たばこの吸い殻やライターもあり、火災の危険も。川口所長は「人通りが多い分、ごみも多い。ただ、有害図書は入れにくいのかもしれない」と分析する。
 逆に過去10年間で回収量が最も多かったのはローソン長崎畝刈町店(畝刈町)のポスト。昨年度は241点を回収し、うち本類164点、DVD77点だった。同じく市北部のスーパー、ダンクユー本店(滑石5丁目)の昨年度の回収量も536点。この2カ所は不自然なほど大量の有害図書やDVDが投入されている時があり、市は一般家庭ではなく、業者による不法投棄の可能性があるとみている。
 市は白ポストの必要性を検討するため、3月から県営バスターミナル横(大黒町)を、6月からローソン畝刈町店と銅座町の白ポストを試験的に一時閉鎖。諏訪神社の上り口(上西山町)など計3カ所は11月から閉鎖する。周辺での有害図書などの散乱や他のポストの回収量の増減をみる。川口所長は「問題がなければ県へ撤去申請をして協議を進める。子どもの健やかな成長のため、どのように社会環境を整えていけばよいか、関係機関と連携して検討したい」としている。

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