「悪球打ち」も技術のうち!?12球団ボールゾーン打率ランキング

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「ドカベン」岩鬼の代名詞

野球漫画「ドカベン」に登場する岩鬼と言えば「悪球打ち」が代名詞。葉っぱをくわえながらボール球を豪快に打ち返すシーンに夢中になった方も多いだろう。

漫画の世界とはいえ、冷静に考えればボール球をミートするには高い技術が必要だ。決して偶然ではない。

「悪球打ち」と言うと聞こえは悪いが、12球団でボールゾーン打率の高い選手を調べてみた。TOP10は下の通りとなっている。

小郷裕哉、福田周平、宮﨑敏郎がTOP3

6月9日終了時点の規定打席到達者でナンバーワンは小郷裕哉(楽天)。ボールゾーン打率はなんと.323を記録している。逆にストライクゾーンの打率は.259でシーズン通算でも打率.276だから、ボール球を打って打率を上げている希少な存在だ。

ボールゾーン打率が高いということは四球が少ないのかと思いきや、パ・リーグ3位タイの26四球を選んでおり、決して選球眼が悪いわけではない。交流戦9勝3敗で首位を走る楽天の切り込み隊長の打撃技術にいま一度注目したい。

2位はボールゾーン打率.302の福田周平(オリックス)。ストライクゾーン打率.261、シーズン通算打率.272と比べても高い上、18四球を選んでいる。「悪球打ち」はミート力の証明とも言えそうだが、福田は6月7日に右足首を痛めて登録抹消されており、回復が待たれる。

3位は球界屈指のスプレーヒッターとして知られる宮﨑敏郎(DeNA)。ストライクゾーン打率.273に対し、ボールゾーン打率は.296と高い。宮﨑も6月7日に左ハムストリングの軽い肉離れで登録抹消されており、ケガの状態が気掛かりだ。

ストライクもボールも打つ柳田悠岐、秋山翔吾

4位の柳田悠岐(ソフトバンク)はボールゾーン打率も.262と高いが、ストライクゾーン打率は.310とさらに高い。3・4月の月間MVPに輝く活躍を見せていたが、柳田も右足太ももの裏の肉離れで6月1日に登録抹消された。

5位は今季ブレイク中の田宮裕涼(日本ハム)でボールゾーン打率.259。ただ、田宮の場合はストライクゾーン打率が.376のハイアベレージで、現在パ・リーグ2位の打率.335をマークしているのも頷ける数字となっている。

6位は小園海斗(広島)。ストライクゾーン打率.319、ボールゾーン打率.257をマーク。今季は4番も任されており、打率.297、得点圏打率.382と勝負強さ発揮している。

7位も広島の秋山翔吾でボールゾーン打率は.253。西武時代の2015年に216安打のNPB最多記録を樹立しただけにストライクゾーン打率も.310と高い。秋山は規定打席到達者の中で四球数が最少の10個。あらゆる球をヒットにする、まさにヒットメーカーと言えそうだ。

巧みなバットコントロールの丸佳浩

8位は丸佳浩(巨人)でストライクゾーン打率.313、ボールゾーン打率.250となっている。プロ17年目の35歳は巧みなバットコントロールで1番として打線を引っ張っている。

9位は八千代松陰高から入団5年目の長岡秀樹(ヤクルト)。ストライクゾーン打率.292、ボールゾーン打率.250で、シーズン通算でも.278をマークしている。6月に入って調子を落としており、ここからが正念場だろう。

10位は天理大から入団2年目の友杉篤輝(ロッテ)。TOP10では宮﨑とともに数少ない右打ちだ。ストライクゾーン打率.270、ボールゾーン打率.244で、シーズン通算打率.263。今季は飛躍のシーズンとなりそうだ。

ボールゾーンと言っても、ストライクゾーンからボール半個分だけ外れたような際どい球も含まれる。いわゆる「くさい球」をヒットにするのもプロの高い技術があるからこそ。「悪球打ち」の選手たちに注目するのもまた一興だ。

※成績は6月9日終了時点



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