大島優子、自身の“正義”は「法を犯さなければいい」 2年半ぶりの連ドラは「不安しかなかった」

『アンチヒーロー』に出演する大島優子【写真:(C)TBS】

パラリーガル・白木凛役を演じている

俳優の大島優子が自身が出演するTBS系日曜劇場『アンチヒーロー』(日曜午後9時)のリモート取材に応じ“正義”や作品の魅力を語った。

本作は「弁護士ドラマ」という枠組みを超え、長谷川博己演じる“アンチ”な弁護士・明墨正樹を通して、視聴者に“正義とは果たして何なのか?”“世の中の悪とされていることは、本当に悪いことなのか?”を問いかける逆転パラドックスエンターテインメント。スピーディーな展開で常識が次々と覆されていく。同じ明墨法律事務所で働く弁護士役には北村匠海、堀田真由が出演している。

大島の日曜劇場への出演は2013年放送の『安堂ロイド?A.I. knows LOVE??』以来、実に11年ぶり。また地上波連続テレビドラマへの本格的な出演は、NHK大河ドラマ『青天を衝け』以来、2年半ぶりとなった。明墨が元検事だったことを知っているパラリーガル・白木凛役を演じている。

以下、インタビュー内容。

――本作に出演したことで得たものはありますか。

「今すぐには分からないです。あの時のこれが生かされてるなとか、いつも2~3年経つと気づくんです。きっとまた2~3年後に気づくんだと思います。すごく吸収させてもらってるのは、長谷川さんの振る舞いや長セリフをどう言うか、自分がセリフをしゃべっていないときにもどうやってそこにいるかっていうものをすごく学んでいます」

――撮影現場の雰囲気は。

「現場のスタッフや共演者のみなさんの気合いの入り方がすごいんです。プロデューサーが4年間温めて考えて大切に作ってきた企画というだけあって、そこに対する思いっていうものが一致団結している雰囲気もあります。本当にいいものを作ろうってみんな思っています。毎回撮影していて思うので、本当に質の高い現場だなと思います」

――それはどういったときに実感しますか。

「すごく細かい設定もみんなが意見を出し合って、ちゃんと作っていける現場があります。だから疑問や腑に落ちないことっていうものをみんなで一緒に解決して納得することができる。それを口に出して言えるって、すごくいい環境でしかないと思う。空気感もいいですし、プロフェッショナルだからそれが成り立っていると思います」

――パラリーガルを演じるうえで役作りで意識した点は。

「実際の捜査に関与するというよりも、事務手続き的なことが多かったりするのがパラリーガルのお仕事の役割だと思っています。たまにロケで潜入捜査に参加するときは、役に立ってるなと思って、楽しんで撮影しています」

――白木凛というキャラクターの性格や解釈を教えてください。

「個性の強い事務所のメンバーがそろっているので、その中で中和剤じゃないですけど、バランスを取ってそこにいるっていう存在が白木凜凛なのかなと思っています。明るく陽気に見えるんですが、1つずつの事件をわかりやすく自分の言葉で発している。視聴者に近い感覚や感想で物事を発しているのかなと思っています」

――役柄と共感できる部分はありますか。

「明るく陽気に見えるんですが、いろんな経験をしていて、明墨弁護士事務所に入る前に何社か受けていたと思っています。自分でも弁護士になることを目指していて、いまパラリーガルでやっているのは、多分挫折をしているからと思っています。そのうえで彼女の明るさや陽気は、自身の過去の経験から生まれたものだなと思っています。ただただ明るく陽気なポジティブな人だけではなく、いろんなことを経て形成されたキャラクター。そこは通じるものがあります」

――日曜劇場への出演は11年ぶり。地上波連続テレビドラマへの本格的な出演も2年半ぶりで現場に入る前の気持ちはどうでしたか。

「不安しかなかったですね。『大丈夫かな』『できるかな』『日曜劇場だしな』みたいな。漠然とした不安がありましたが、本読み、顔合わせをしたときに、みなさんの気合いの入り方や、それぞれのスピーチを聞いた時に『やるしかない!』って尻を叩かれたような気持ちになりました」

――出演後の反響はどうですか。

「最初は全然なくて、誰からも連絡がありませんでした。親もいつも連絡くれたはずなんですけどなくて、『え?』みたいな。びっくりしていたんですが、2?3話くらいから『見てるよ』って連絡がくるようになりました。友達や美容院に行ったときは会う人会う人、自分なりの考察を言ってきます。ちゃんと考察して見てくれてる、楽しんでくれてるなっていうのは感じています」

――共演者の印象は。

「長谷川さんがすごく面白いです。役者さんとして初めて見るタイプの方だと思っています。明墨っていう役を現場で作っていかれる。ドライ→テスト→段取り→テスト→本番の間に出来上がっていくっていうのをまじまじと目の前で見せてくれる。現場にいるだけで面白い、楽しいなと感じています。あと長セリフは場をもたせるのが難しいんですが、長谷川さんは長セリフっていうものをすごく考えていると思います。動きにも新鮮味がある。多分、想像する時にもちゃんと新鮮を保ったまま発信されているんだろうと思っています」

――振り返っておいた方がいいシーンは。

「もう1話から全部。冒頭の明墨先生の接見室から伏線は全部散らばめられています。白木に関しては7話くらいから『あれ?』って思うようなことがあると思います」

――作品の魅力を教えてください。

「本当に正義と悪っていうのが表裏一体で、どう転ぶかわからないと身近に感じました。この前、実際の裁判を傍聴しに行きました。そのとき殺人犯の判決や強盗致傷の第1回目の公判を見ました。ずっと1日中(いろんな)裁判をやっていて、こんなに犯罪をした人がいるんだと思いました。これが毎日となると、どれだけ犯罪ってそこら中にあるんだろうと……。人っていつの間にか魔が差して犯罪を犯してしまうことが誰にでもあることなんだな思いました。だから『アンチヒーロー』って言葉を作ったのがすごく納得いきました。アンチだけどヒーローになるし、ヒーローのアンチにもなり得る部分がこの作品のうたっている部分と思った。『あなたには何の正義がありますか』みたいなのをすごく突きつけられてると思います」

――大島さんにとっての“正義”とは。

「法を犯さなければいい。人を傷つけないように生きようって思っています」ENCOUNT編集部

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