エル・デスペラードが示した“プロレスの多様性”は大成功!「怒っちゃった人もいると思うけど超楽しかったです」

前日に開催された新日本プロレス大阪・大阪城ホール大会のメインイベントで石森太二を破り、『BEST OF THE SUPER Jr.31』を制して初優勝を飾ったエル・デスペラードが前夜の興奮も収まらない中、自身のプロデュース興行『DESPE-invitacional(デスペ・インビタショナル)』6.10東京・後楽園ホール大会を開催した。

この大会はデスペラードから招待状を受け取った選手が集結するということ以外、参戦選手やカード、試合数など全て非公開だったにもかかわらず、チケットは事前に全席完売するなど、新日本の枠に拘らないデスペラードの外交に対する期待感がファンの間で溢れかえっていた。

第0試合では、棚橋弘至&矢野通のヒロシとトオルにヒロインのキョーコこと井上京子が合体するサプライズ。棚橋と京子は初対面、矢野と京子は飲み仲間だという。ヤンキースタイルの3人の相手としてデスペラードが招待したのは、宮本裕向&木高イサミのヤンキー二丁拳銃とハードコアクィーンのDASH・チサコという第0試合から新鮮な顔合わせが実現。会場もいきなりヒートアップしたのは言うまでもない。

本編が始まるとデスペラードが登場し、妹分のスターライト・キッド、兄と慕うドラゴン・キッドが現われてこのふたりとの対戦を宣言。パートナーとして出てきたのは、新日本でスタッフとして活動もしている姐ちゃんこと下田美馬。試合はキッちゃんタッグが初タッグとは思えない連係を見せて、スターライトがレジェンドの下田からギブアップ勝ちを収め、試合後にスターライトはデスペラードとの一騎討ちを熱望した。新日本とスターダムは11月に大阪で合同興行を控えており、今後の展開に注目だ。
その後も普段の新日本では観られないような選手や対戦カードが次々に組まれて、会場の熱気は最後まで途切れることはなかった。出場した各選手が「点では終わらせない」という気持ちを持って今大会に臨んでいたのも印象的で、DOUKIが関係性のある佐々木大輔、Eita、ビオレント・ジャックとの再会を誓えば、デスマッチに挑戦した高橋ヒロムは葛西純と「本物のデスマッチをやりたい」と再会を口にすると、クリス・ブルックスはDDT7.21東京・両国国技館大会でデスペラードとのシングルを要求。デスペラードも受諾したことからドリームマッチが実現することになった。

メインイベントでは、男色ディーノが配信の解説を務めていたデスペラードをパートナーに指名。DDT伝説のユニット“フェロモンズ”ごっことして吹っ切れたデスペラードは一旦バックステージに引き上げると、ディーノ風のタイツとハットとベストを着用し再入場。対戦相手は外道&ディック東郷のバレットクラブコンビ。このふたりもバレットクラブではありながらも、新日本ではWAR DOGS、H.O.Tとバレットクラブ内で別ユニットに入っているため、ユニバーサルプロレス時代からの古い付き合いではあるが、あまり組むことはないレアなタッグだ。

試合はリップロックを始め男色ワールドが展開されたが、最後はラフ&テクニックで勝る外道がディーノに外道クラッチを決めてカウント3でこの日の主宰者であるデスペラードは2連敗。試合後、ディーノと握手&キスを交わしマイクを掴んだデスペラードは「これは新日本の本隊とは全く関係ないことなんで。これマルチバースだからね」と客席を和ませると、「たぶんメインを観て怒っちゃった人もいると思う。けど、俺もこうなるとは思ってませんでした。覚悟はしてたけどね。ありがとうございました。超楽しかったです」と笑みを浮かべながら大会を締めた。

今回のようにデスペラードがプロレスの多様性を示していくことで、ファンに対していろいろなプロレスの楽しみ方を提供していく姿勢はプロレス界全体にとってもプラスに働くだけに、今後もこのような遊び心満載な闘いをどんどん観せてもらいたい。

◆新日本プロレス◆
『DESPE-invitacional(デスペ・インビタショナル)』
2024年6月10日
東京・後楽園ホール
観衆 1506人(札止め)
▼タッグマッチ(20分1本勝負)
●男色ディーノ&ディーノ推薦選手=エル・デスペラード(18分18秒 片エビ固め)外道○&ディック東郷
▼スペシャルシングルマッチ(20分1本勝負)
○ザック・セイバーJr.(10分55秒 オリエンテーリング・ウィズ・ナパーム・デス)佐藤光留⚫︎
▼ハードコア4WAYマッチ(20分1本勝負)
エル・ファンタズモ 対 クリス・ブルックス 対 竹田誠志 対 MAO
※時間切れ引き分け
▼ハードコアタッグマッチ(20分1本勝負)
葛西純&○高橋ヒロム(19分53秒 体固め)鈴木みのる&植木嵩行●
※パールハーバースプラッシュ
▼ルチャルール4WAYマッチ(20分1本勝負)
○DOUKI 対 ○佐々木大輔 対 ○Eita(11分36秒 体固め)ビオレント・ジャック●
※3人で押さえ込む
▼タッグマッチ(20分1本勝負)
エル・デスペラード&●下田美馬(17分25秒 黒虎脚殺)ドラゴン・キッド&スターライト・キッド○
▼第0試合6人タッグマッチ(20分1本勝負)
○棚橋弘至&矢野通&井上京子(9分57秒 片エビ固め)宮本裕向&木高イサミ&●DASH・チサコ
※ハイフライフロー

文⚫︎どら増田

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