かまぼこ板の絵展 中村さん(石川)大賞 輪島塗の技法で女性と花々表現

大賞に輝いた中村るつさんの作品「よあけに」

 愛媛県西予市城川町下相のギャラリーしろかわを会場にしている全国かまぼこ板の絵展覧会の第29回展の入賞者発表が11日あり、大賞に石川県小松市の中村るつさん(33)の「よあけに」を選んだ。

 中村さんは輪島塗の沈金職人で、輪島塗を代表する伝統的な沈金技法を用いて作品を制作。細かく彫った線の上に金粉をすり込み、柔和な笑みを浮かべる女性の表情や華やかに咲く花々を繊細な黄金色の絵柄で表現している。

 審査員長の日本画家伊東正次さん(久万高原町出身)は「かまぼこ板がすてきな漆器に変身した。技法と図像の構成力、見せ方にも敬服」と評し「復興を願う輪島や被災地域の人々の祈りと誓いを込めた素晴らしい作品」とたたえた。中村さんは能登半島地震で大変な中、輪島塗の魅力発信のために制作したとし「関わる全ての人に感謝したい」と喜びを表した。

 応募総数は6157点で、144点が入賞した。全作品を展示する展覧会は7月22日~2025年1月13日に開催。表彰式は7月21日に実施する。

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