登山道に脚の一部が…クマに襲われ八つ裂きになったカモシカの死骸、記者が目撃した戦慄の光景

鹿やカモシカなどの大型獣を襲うこともあるクマ(写真はイメージ)【写真:写真AC】

現場は百名山の男体山と二百名山の女峰山を結ぶ登山口から100メートルほど離れた林道上

全国各地でクマによる被害が相次いでいる。先月15日、秋田・鹿角市の山中で行方不明となっていた男性が4日後に遺体となって発見され、現場から搬送する際に警官2人がクマに襲われ重傷を負った。昨年、クマによる人的被害は過去最悪を記録。今年に入ってからも連日のように目撃情報がニュースとなっている。ENCOUNT記者は今月8日、登山中にクマによって八つ裂きにされたとみられるカモシカの死骸を発見。戦慄の現場をリポートする。

記者が無惨に引き裂かれた死骸を発見したのは、大勢の観光客でにぎわう栃木・日光市、百名山の男体山と二百名山の女峰山を結ぶ志津乗越の登山口付近。この日は始発で都内を出発、午前10時前に男体山表参道の二荒山神社中宮祠に到着した。登山客でごった返す男体山を越え、反対側の志津乗越に下りてきたのは午後3時前。登山口から100メートルほど離れた車の往来もある林道上に、鹿のような動物の脚の一部と大量の体毛が散らばっていた。

不自然だったのは、脚の一部を残して死骸の大部分がその場から持ち去られていたこと。「これはもしやクマの仕業では……」と同行者の友人との間に緊張が走る。死骸にはハエがたかっていたものの腐敗はそこまで進んでおらず、死後それほど時間がたっていない様子で、むやみに触れると獲物に対するクマの執着心をあおる可能性があると判断。現場の写真を数枚撮影し急いでその場を離れた。

その日は女峰山山頂直下の唐沢避難小屋に宿泊。幸いにも地元の高等専門学校山岳部の学生20人ほどと一緒となったため、恐怖感はなかった。翌朝、三百名山の太郎山に向かう道中で再度現場を通ったが、死骸は変わらず放置されたままだった。

下山後、50年近くにわたってツキノワグマの生態調査を続けている日本ツキノワグマ研究所の米田一彦所長に撮影した写真の鑑定を依頼。「毎年、年間50例ほど、このような判定が持ち込まれます。海外のものは分からないこともありますが、これは奥日光であることからツキノワグマで間違いないでしょう」との回答を得た。また、当初鹿だと思っていた死骸はカモシカのものだという。

米田所長によると、日光の代表的な観光地で修学旅行生などが大勢訪れる戦場が原でもクマによる人的被害が報告されているとのことで、あらためてクマの身近な動物であることを実感する体験となった。登山や山菜取りなどで山中に入る際には、クマ除けの鈴やラジオ、場合によってはクマ撃退スプレーなども携行し、もしもの事態に備えたいところだ。ENCOUNT編集部/クロスメディアチーム

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