「光る君へ」チーフディレクターが語る今後のお薦めシーン 美術セット制作者と「越前国府」越前市で講演

「光る君へ」の美術セットにまつわる制作秘話を語る山内浩幹さん(左)と枝茂川泰生さん=6月9日、福井県の越前市生涯学習センター

 福井県越前市ゆかりの紫式部が主人公のNHK大河ドラマ「光る君へ」に使われる美術セットの制作陣による講演会が6月9日、市生涯学習センターで開かれた。セットに込めたこだわりや思いなどを語り、県内外の約130人がじっくりと耳を傾けた。

 ドラマの舞台裏を知ることで、当時の暮らしや文化に理解を深めてもらおうと、市や県などによる「紫式部プロジェクト推進協議会」が企画。ドラマの全体構想を担うチーフ・ディレクター山内浩幹さんと、セットのデザインを手がける枝茂川(しもかわ)泰生さんが講演した。

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 紫式部が唯一都を離れて暮らした越前国府は、さまざまな絵巻物や現地取材を踏まえ、唐風と和風の雰囲気が入り交じる空間を意識したセットに仕上げているという。「紫式部の居室には黒塗りの漆の机など最高級の調度品を並べることで、国司の父為時とともにもてなしを受ける様子を演出している」(枝茂川さん)と明かした。

 今後の放送で越前和紙が登場する場面では、県内の職人が和紙農家に扮して紙漉(す)きする姿が描かれるといい、山内さんは「文学者の紫式部が和紙と出合う重要な場面になる。放送を楽しみに待っていてほしい」と呼びかけていた。

 会場を訪れた女性は「貴重な制作秘話を知ることができて感動した」と話していた。

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