情報漏えいか、公益通報か…鹿児島県警・前部長の告発、県議会委員会でも「闇」のまま 本部長は改めて隠ぺい否定「県民に多大な不安、深くおわび」

鹿児島県議会総務警察委員会で答弁する県警の野川明輝本部長=11日午後、県議会同委員会室

 鹿児島県議会総務警察委員会(西村協委員長)は11日、県警の現職警察官や前生活安全部長が相次いで逮捕された不祥事について集中調査をした。野川明輝本部長は「県民に多大な不安を与え、責任者として深くおわびする」と謝罪。一方で委員らの質問には「捜査に支障がある」などと回答しない場面が目立ち、「県警は情報開示が足りない」との批判が相次いだ。

 国家公務員法(守秘義務)違反の疑いで逮捕、送検された前生活安全部長(60)が「本部長が県警職員の犯罪行為を隠蔽(いんぺい)しようとした」と主張していることについて、野川本部長は「隠蔽を意図した指示は一切ない」と改めて強調した。

 トイレに侵入して女性を盗撮したとして逮捕、起訴された巡査部長の事件を巡り、「泳がせよう」などと言って捜査指揮簿に本部長印を押さなかったと指摘されていることに対し「(前部長の在任中に)事件に関する本部長指揮簿が作られた事実は確認されていない。事件認知時に(前部長が)私のところに来た事実もない」と否定した。

 前部長が漏らしたとされる文書には、2023年に男性警察官が、市民の情報をまとめた「巡回連絡簿」を使い、県内の女性に携帯電話で性的な内容を含むメッセージを送った可能性があるとする内容もあった。委員から「職務上の行為か」などと問われたが、県警側は「巡回連絡簿の悪用はあったが、職務上だったかどうかは答えられない」と明言を避けた。

 同日は委員10人のほか、約10人の委員外議員も参加した。うち1人が内部告発を念頭に「前部長の行動は公益通報に当たるかもしれないし、当たらないかもしれないということか」と確認すると、県警側は「その通りだ」と答えた。

 西村委員長は委員会後の報道陣の取材に「信頼回復には至らなかった。県警は状況をもう少し誠実に受け止め、情報開示する姿勢が求められる」と話した。

〈関連〉鹿児島県議会総務警察委員会の終了後、足早に退出する県警の野川明輝本部長=11日午後、県議会庁舎
鹿児島県警不祥事の集中調査などが行われた県議会総務警察委員会=11日午後、県議会同委員会室

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