羽咋の70代、4500万円被害 投資詐欺、県内で今年最高額

  ●SNSで「金はもうかる、倍になる」

 羽咋署は11日、羽咋市の70代男性が交流サイト(SNS)を利用した投資詐欺被害に遭い、現金約4500万円をだまし取られたと発表した。金(きん)の取引を勧められ、数百万円を計11回にわたって送金した。今年、石川県内で確認されたSNS型投資詐欺の被害額としては最大で、価格の下落リスクが小さいとされる金相場に着目して投資を持ち掛けたとみられる。

 羽咋署によると、男性は2月上旬ごろ、インターネットの投資に関する広告を介してSNSグループに加入した。やりとりの中で、メンバーの複数人から「今は金を保有した方がもうかる。資本が倍になる」と勧められ、3月4日から同28日にかけ、指定口座に数百万円ずつ送金した。

 男性は、金取引を勧めてきた人物に取引窓口となるサイトを紹介された。サイトを通じ、指定された口座に少額を振り込んだところ、男性の元に利益が出たことを示す画像が送られてきたという。

 署によると、その後、専用のホームページ上では男性が数億円の利益を上げていたことになっていた。男性は、SNSグループのメンバーからアドバイス料として利益の10%を要求されたため「利益から差し引いてほしい」と伝えたところ、「現金の振り込みしか受け付けない」と言われて不審に感じ、家族に相談して被害が発覚した。

 県警が今年、4月末までに認知したSNS型投資詐欺の被害総額は約1億7840万円(11件)と、昨年の約7300万円(同)を大きく上回っている。5月以降も被害は相次いで発覚し、金沢市の70代男性が約2700万円、七尾市の70代男性が約1200万円をだまし取られた。

  ●「第三者に相談、冷静な目で」 出口保行・東京未来大教授(犯罪心理学)

 増加するSNS型投資詐欺について、出口保行東京未来大教授(犯罪心理学)は「SNSは電話より容易。一人でも引っかかればもうけものと考える犯罪者にとって、コストパフォーマンスがいい犯罪になっている」との見解を示した。

 被害者は「もうかる」という言葉に引きつけられるとし、「情報の秘密性が高いことも強調されると、手放すのはもったいない気持ちになる」と指摘。自分に都合のいい情報のみを取り入れる心理状態になる恐れがあり、「第三者に相談し、冷静な目で判断してもらうべきだ」と述べた。

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