攻撃的な3-4-2-1に見えた各選手の個人戦術眼の高さ。それでも拭えない森保ジャパンの不安【コラム】

2026年のワールドカップへすでに最終予選進出を決めている日本は、2次予選の最終戦でホームでシリアと対戦し、5-0の快勝を収めた。

いわゆる消化試合となった今回の6月シリーズのミャンマー戦(アウェー/〇5-0)とシリア戦(ホーム/〇5-0)に主力選手たちを招集した森保一監督が試したのが、通常の4-2-3-1や4-1-4-1ではなく、ウイングバックに10番の堂安律や中村敬斗らを入れた攻撃的な3-4-2-1であった。

選手たちは口々に「(3バックを)試せるのはこの2試合くらいしかなかったと思いますし、良いトライだった」と語り、ポジティブに捉えていたのは印象的だ。

これまでの森保ジャパンも4バックと3バックを併用してきたが、攻撃的な3-4-2-1が、今後の最終予選に向けて貴重なオプションとして用意できたとするならば、ともに快勝した今回の2連戦は価値があったと言えるのだろう。

ただ今年初めのアジアカップでベスト8で敗退するなど、引いた相手やロングボールを多用してくる相手に苦戦する傾向にある今の日本にとって、このシステムが本当の意味で処方箋になるのかは、今後の最終予選や強豪との試合を見てみないと判断し切れない部分も大きい。

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「今の選手たちはいろんな戦術でやっているので、あまり3枚とか4枚とか、一応、最初の立ち位置は決まっていますが、今日に関しては守備は4-4-2気味でやっていましたし、相手に応じて、3が良いのか4が良いのかを考える。最初の立ち位置は3-4-3(3-4-2-1)でしたが、4-4-2気味になることもあるし個人の判断でやっていく。それが今の日本の最大の良さというか、どうすればプレッシャーを剥がせるか、どうしたらプレッシャーにハマっていくのか、常にお互い話し合いながらやっているところだと思うので、やり続けるしかないと言いますか。これが強豪相手とやった時や、最終予選でやった時に同じような結果を残すことが、今後につながると思います」

シリア戦の後に、こう語っていたのはキャプテンの遠藤航である。

欧州でプレーする選手が大半の今のチームにとって、各々の個人戦術の高さは大きな武器だ。ただし、それでもアジアカップは頂点まで勝ち進めなかった現実がある。

史上初となる全勝&無失点での2次予選突破は誇らしい面がある一方で、選手たちの経験値や戦術眼をチームとしてどう昇華させるのか、その答えが見えるのはもう少し先になりそうだ。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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