山深きヤオ族の里が歩む、伝統と現代の共生 中国広西チワン族自治区

山深きヤオ族の里が歩む、伝統と現代の共生 中国広西チワン族自治区

竜脊鎮大寨村にある喫茶店でくつろぐ外国人観光客。(資料写真、桂林=新華社配信)

 【新華社南寧6月12日】中国広西チワン族自治区桂林市竜勝各族自治県竜脊(りゅうせき)鎮大寨村では、山を取り囲むように広がる棚田や緑が映える山の斜面に民族色あふれる伝統的な高床式建築「吊脚楼」を見ることができ、石畳の小道を国内外の観光客が行き来する。アルゼンチンから来た観光客のニコラスさんは「村は清潔で美しい自然があり、空気も新鮮。自然だけでなく少数民族の文化に親しむこともできる。村の宿泊施設や飲食店もとても特色がある」と語った。

 村落の中を歩くと、記念写真を撮る観光客やヤオ族の民族衣装を着た村民が自宅の前で茶葉を摘む姿をよく見かける。雑貨店の店内では60代の村民、潘志栄(はん・しえい)さんが紅瑶族(ヤオ族の支族で赤い民族衣装を特徴とする)の民族衣装を着て頭に赤い頭巾を被り、新鮮な茶葉を選別しながら観光客に村について紹介していた。潘さんは「村は今、徐々に観光シーズンを迎えており、商売もますます好調になっている」と語った。

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サウジアラビアのアルウラで開かれた「ベスト・ツーリズム・ビレッジ」の授賞式に出席する、大寨村の余瓊通書記(右から2人目)。(2023年3月12日撮影、アルウラ=新華社配信)

 山々に隔てられた同村はかつて貧困の代名詞だったが、雄大で美しい棚田の風景と豊かな紅瑶文化を生かした長年の観光開発を経て、「普段の暮らしぶりを売りに観光業を営む」という新たな生活にたどり着いた。2022年には国連世界観光機関(UNWTO)から「ベスト・ツーリズム・ビレッジ」に選ばれた。

 同村党支部の余瓊通(よ・けいつう)書記はここ数年の発展について「名前を慕ってやってくる観光客がますます増え、多くの村民が商機を見出した。出稼ぎに出ていた若者たちも続々と村へ戻って創業し、村の民泊や飲食の産業が急速に発展してきた」と振り返った。

 18年に故郷に戻った潘徳雄(はん・とくゆう)さんはゲストハウスを開業、今では客室10室を展開している。宿泊施設以外にも喫茶店やレストランも経営しており「商売はかなり上手くいっている。家族のそばにもいられるし、収入も出稼ぎしていたころと変わらない」と語った。

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竜脊鎮大寨村にある棚田の間を歩く、ヤオ族の衣装を着た村民。(資料写真、桂林=新華社配信)

 潘さんはまた「世界各地から観光客が訪れている。うちの喫茶店が観光客の交流の場となり、社交場としての役割が顕著になっている。もっと英会話の能力を高めて、村にまつわるエピソードや少数民族の特徴などについて外国人にしっかりと紹介できるようになりたい」と述べた。

 同支部の潘李高(はん・りこう)副書記によると、昨年同村を訪れた国内外の観光客は延べ70万8千人で、村の集団経済にもたらした収入は725万元(1元=約22円)に達した。村内には現在、レストランや農村体験施設、民泊施設などが250軒近くあるという。

 観光業の発展に伴い、村民は自分たちのヤオ族文化を保護、継承することがいかに重要かについて認識を深めている。余氏は「現在、多くの若者が伝統技術を復活させており、観光業の発展はヤオ族文化に新たな活力を注ぎ込んでいる」と述べ、村民が不定期にヤオ族の民俗に関するイベントを開いているほか、村内に民俗文化をテーマとした夜市を作る計画もあると紹介した。(記者/黄慶剛)

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雲や霧に包まれた大寨村。(資料写真、桂林=新華社配信)

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竜脊鎮大寨村でヤオ族の伝統的な刺繡(ししゅう)技法「瑶繡」を実演する村民。(資料写真、桂林=新華社配信)

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竜脊鎮大寨村に広がる棚田の夏の風景。(資料写真、桂林=新華社配信)

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竜脊鎮大寨村で、織布の芸術やヤオ族の衣装を紹介する村民ら。(資料写真、桂林=新華社配信)

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「ベスト・ツーリズム・ビレッジ」に選ばれた栄誉を村民と分かち合う、竜脊鎮大寨村党支部の余瓊通書記(右から2人目)。(資料写真、桂林=新華社配信)

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竜脊鎮大寨村の夜景。(資料写真、桂林=新華社配信)

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