コウノトリ飛来ラッシュ 羽咋・邑知潟

餌をついばむ8羽のコウノトリ=羽咋市の邑知潟干拓地

 羽咋市内に国特別天然記念物のコウノトリが連日飛来している。日を追うごとに数が増え、12日は邑知潟干拓地で8羽がまとまって目撃された。突然の「コウノトリラッシュ」に繁殖を望む関係者は、定着と来年以降の巣作りに期待を寄せ、驚かせないよう節度ある観察を呼び掛けている。

 市内では6月に入り、8日と10日に石野町の水田で各1羽、11日に邑知潟干拓地で6羽が目撃された。12日は干拓地の田んぼで8羽が餌をついばんでいた。

 兵庫県立コウノトリの郷公園によると、コウノトリは群れでは行動せず、それぞれが餌の豊富な場所を探してきたとみられる。日本白鳥の会理事の川口雅登さん(羽咋市)は「1羽いると、餌があるとみて次々とやって来るのだろう」と話す。

 11日に目撃された6羽のうち5羽は12日朝に河北潟で確認され、川口さんは「石川県内あちこちに移動していると考えられる」と指摘。足環から兵庫県豊岡市で昨年生まれた個体や、鯖江市で巣立った5歳の成鳥が含まれているという。

  ●営巣塔はカラスが先約

 羽咋市では近年、続けてコウノトリが飛来。昨年は3羽が確認された。市はトキの放鳥を見据え、コウノトリの繁殖しやすい環境を整えようと今年2月、邑知潟水土里(みどり)ネットワークとともに邑知潟南側の干拓地に営巣塔を設置した。

 もっとも、コウノトリの繁殖期は春で、コウノトリの郷公園によると、これから巣を作る可能性はほとんどない。さらに塔にはカラスとみられる鳥が既に巣を作っている。ただ、他の巣があっても場所を気に入れば営巣することは十分考えられるという。

 市の担当者は「塔の場所を覚えてもらい、来年また来て子育てしてくれればいい。やさしく見守りたい」と話した。

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