ブランド名「湯遊うなぎ」 宇奈月温泉ウナギ初出荷 黒部の飲食店で13日からうな重提供

披露された販売用ウナギと「湯遊うなぎ」ののぼり=黒部市生地中区の上町公民館

  ●協議会 YKK𠮷田相談役が代表

 黒部市宇奈月温泉の温泉水に入れたウナギの特産化を目指す黒部Uプロジェクト協議会は12日、ウナギのブランド名を「湯遊(ゆうゆう)うなぎ」に決めたと発表した。第1弾として真空パックにした千食分を初出荷し、取り扱い1号店となる生地地区の飲食店が13日からうな重で提供する。7月の「土用の丑(うし)の日」に向けて旅館に導入を促し、夏場の宇奈月名物として温泉街の魅力向上につなげる。

 協議会は黒部商工会議所と黒部市内の協賛企業でつくり、𠮷田忠裕YKK相談役が代表を務めている。ウナギと宇奈月の頭文字からUプロジェクトと名付け、2021年度にスタートした。

 温泉水ウナギと、市内河川に幼魚を放流した上で定着させ黒部産ウナギとして名物にする取り組みの2本立てで活動しており、温泉水ウナギは試験を重ねて販売にこぎ着けた。

 7月末までの第1弾分は愛知県一色産養殖ウナギを使用する。出荷前の1週間、宇奈月でユズ入り温泉水に餌を与えずに漬ける。富山県鮭鱒(けいそん)漁業協同組合(魚津市)がかば焼きと白焼きに加工、協議会メンバーの丸中水産(黒部市)が販売元となる。

 丸中水産が生地芦崎で営む「北洋の館」で、うな重が2600円で提供される。月内には家庭でも湯煎すれば食べられる一般向け販売も始める。

 上町公民館で説明会に臨んだ協議会事務局長の川端康夫黒部商工会議所会頭は「身も皮もやわらかい上、ぎとぎとした脂も落ち、さっぱりした味わいになった」と話した。売れ行きをみながら生産し、好評なら月産1500食まで拡大する。

 「湯遊うなぎ」のロゴ、マスコットキャラクター「ゆなぎちゃん」のデザインも披露した。

 協議会は12日、黒部市内の5河川などに、15センチほどの静岡県浜名湖産ニホンウナギの幼魚約1700匹を放流した。4年目の放流で、昨年には市内河川で55センチ、280グラムにまで育った成魚が確認されており、定着に期待を込めた。

 生地こども園近くの背戸川でセレモニーが行われ、年長児14人が約100匹を放した。市内で定着すれば、黒部川内水面漁業協同組合が漁業権を設定し、黒部産天然ウナギとして捕獲できる環境整備を目指す。

 ★宇奈月温泉 黒部峡谷の玄関口にあり、黒部川上流の黒薙(くろなぎ)温泉から引湯し、1923(大正12)年に開湯した。日本一の透明度とされ、無色透明の湯は肌にやさしい弱アルカリ性で「美肌の湯」とも言われる。源泉温度は約90度で、2023年に開湯100周年を迎えた。

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