Switch後継機、当初は“移植タイトル”豊富だが後に枯渇するかも

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Nintendo Switchの後継モデル、通称「スイッチ2」は、任天堂が準備中であることを公式に認めている。その性能は単純な演算能力はそう高くはないものの、超解像技術などで底上げすれば、Xbox Series Sに匹敵するとの説が有力だ。

この前提が正しければ、発売当初はかなりの数の移植タイトルに恵まれるものの、ソニーやマイクロソフトが次世代機を発売すれば風向きは大きく変わるとゲーム開発者が指摘している。

オープンワールドゲーム『Spirit of the North』シリーズで知られるInfuse Studioの共同設立者であるテイラー・クリステンセン氏とジェイコブ・サットン氏は、未発表ゲームハード等を扱うYouTubeチャンネル「Moore’s Law is Dead」に出演。その場で任天堂の次期ゲーム機につき、多くの開発者が前世代(現行スイッチ)にゲームを移植したとき経験したような問題が起きるかどうかを語った。

現スイッチへの移植がどれほど難しいかといえば、『ウィッチャー3』のスイッチ版が5年遅れ(PS4版が2015年、スイッチは2020年)だったことでも明らかだ。また『ホグワーツ・レガシー』を移植した(スイッチ版は少し仕様が変更)米シバー・エンターテインメントを、任天堂が5月に買収したのも記憶に新しい。

サットン氏は、もしスイッチ2の性能がXbox Series Sに匹敵するものであれば、かなりの数の移植が行われるはずだと述べた。現世代のマルチプラットフォームゲームはXbox Series Sも対象にせざるを得ないため、スイッチ2でゲームを動かすために大きな犠牲を払う必要はない、というわけだ。

ちなみにマイクロソフトがXbox Series Sでも動くよう強いることに、複数のゲーム開発者はぼやきを隠さなくなってきている。とはいえ、大ヒットが半ば約束されたスイッチ2対応であれば、事情が変わってくる可能性もある。

しかし、最近の任天堂ハードの例に漏れず、スイッチ2は他の現世代機のライフサイクル半ばに発売される見通しだ。マイクロソフトやソニーの次世代機が発売されれば、標準仕様も跳ね上がり、そのスペックは再び標準を下回る可能性が高い。これは現行スイッチでも起きたことで、しだいにマルチプラットフォームタイトルの対象から外されていった。

さらにサットン氏は、ハードウェア(機械学習に特化したチップ等)を増やしたからといって、ソフトウェアがフル活用できるとは限らず、問題が魔法のように解決されるわけではないことを強調。その例として、マルチコアを活用したパフォーマンスの大幅な向上も、UnrealEngine 5.4アップデートを待つ必要があったことを挙げている。

これまでの噂を振り返れば、スイッチ2の開発機で動いていたという『ファイナルファンタジーVII リメイク』もPS5版の発売が約3年前であり、最近のゲームではない。

当面はPS5専用としたために販売本数が伸びなかったタイトルが次々とスイッチ2に移植され、PS6(仮)が登場した頃には最先端ゲームをそちらに投入。その頃には、スイッチ2は再び移植タイトルが枯渇して任天堂の独占タイトル頼りという、いつものサイクルを繰り返すのかもしれない。

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