オリ新助っ人は京セラD大阪で「0.35」、巨人のエースは東京D以外で「0.86」…両リーグ先発投手の内弁慶・外弁慶を調査!

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京セラD大阪でめっぽう強いエスピノーザ

オリックスの新外国人右腕アンダーソン・エスピノーザが12日、京セラD大阪で行われた阪神戦で7回途中3安打無失点の好投。1カ月ぶりとなる今季5勝目を挙げた。

直近4戦は敵地での試合で0勝3敗と苦戦していた26歳右腕だが、5月4日以来となる本拠地・京セラD大阪のマウンドで躍動。6回一死まで一人の走者も許さぬ完璧な投球を見せ、チームを7連勝に導いた。

エスピノーザの球場別成績を見ても、京セラD大阪では4戦3勝負けなし。25回2/3を投げて失点・自責点はわずかに1。防御率は0.35という驚異的な数値を叩き出している。

ちなみに、本拠地外の成績は2勝3敗で防御率3.08。悪い成績ではないのだが、やはりホームの成績が良すぎるため“内弁慶”ぶりが際立っている。

そこで今回は、セ・パ両リーグの規定投球回到達者を対象に「内弁慶度」と「外弁慶度」を調査。エスピノーザのほかに特徴的な選手がいないか調べてみた。

“防御率の差”で見る「内弁慶」「外弁慶」

調査の方法は、各投手の本拠地での防御率から本拠地以外での防御率を引いた“差”に注目。数値がマイナスに出れば「内弁慶」(=本拠地で強い)、プラスに出れば「外弁慶」(=本拠地以外で強い)となる。

まずはパ・リーグの内弁慶度トップ3から見て行こう。

エスピノーザを抑えてNo.1の内弁慶度を叩き出したのが、ロッテの小島和哉で「-2.95」。ただし、これは6月4日の敵地・巨人戦で3回途中自責点11という大乱調があり、本拠地外での防御率が「5.75」まで跳ね上がってしまったのが大きく影響している。

2位に「-2.73」のエスピノーザが入り、そこに続く3位は「-2.21」のソフトバンク・有原航平。本拠地以外でも防御率2.83と好成績を挙げながら、みずほPayPayでは4戦3勝、29イニングで自責点わずか2と安定感抜群の投球を披露。本拠地防御率は0.62となっている。

続いて、セ・リーグ規定到達者の内弁慶度トップ3を見てみよう。

トップの広島・九里亜蓮が12球団唯一の「-3」超え。4月12日の敵地・巨人戦で6回途中自責点9と打ち込まれ、今なおビジター防御率が5.49と高いままという部分はあるが、一方で本拠地・マツダスタジアムでは7試合・44回1/3を投げて自責点9、防御率1.83と安定した投球が光る。

2位の阪神・村上頌樹も「-2.68」と高い内弁慶度を記録。昨季のリーグMVP右腕は今季ここまで2勝5敗と苦戦を強いられているが、本拠地・甲子園では4試合・27イニングで自責点2、防御率0.67と圧巻の投球を続けている。

戸郷翔征が12球団トップの「2.27」

次は「外弁慶」編。本拠地防御率と本拠地外防御率の差がプラスに振れた選手の中で、より大きな数値を記録した選手をリーグ毎にまとめた。まずはパ・リーグのトップ3から。

最も大きなプラスを叩き出しているのが、ロッテの種市篤暉で「1.93」。本拠地・ZOZOマリンでは4試合の登板で2勝2敗、23回1/3を投げて自責点10の一方、本拠地以外では42回で自責点9、防御率1.93の好成績を残している。

2位の西武・今井達也は本拠地で40回を投げて自責点13に対し、本拠地外では34回2/3を投げて自責点は半分以下の6。勝ち星こそ本拠地2に対してそれ以外では1つとなっているが、投球内容は敵地戦の方が良い。

最後にセ・リーグの外弁慶度トップ3を見る。

「2.27」という12球団No.1の数値を叩き出しているのが、巨人のエース・戸郷翔征だ。東京ドームでは31回2/3で自責点11に対し、それ以外では42回で自責点わずか4と圧巻の成績。ノーヒットノーランの偉業を達成した5月24日・阪神戦も甲子園での試合だった。

戸郷に続くのが、「2.20」の吉村貢司郎と「1.89」のミゲル・ヤフーレというヤクルト組。ともに本拠地では防御率4点台前後となっているのに対し、本拠地外の防御率は吉村が1.82、ヤフーレが2.06となっている。

3人に共通するのが、本拠地での被本塁打の多さ。戸郷は今季の被本塁打5のうち4本が東京ドームで、吉村は今季の被本塁打6本すべてが神宮で浴びたもの。ヤフーレも被本塁打5のうち半数以上の3本を神宮で打たれている。

所属チームの本拠地球場の特徴に左右される部分も大いにあるが、場所や条件によって別人のような成績を残す投手がいるというのは興味深いポイント。今後もこの傾向が続いていくのか、ここで取り上げた投手が“どこで”投げるのかも注目して見て行きたい。



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