等々力への感慨深い復帰を果たした宮城天。川崎アカデミー出身&パリ五輪世代アタッカーへの期待

[天皇杯2回戦]川崎 2-0 ソニー仙台/6月12日/Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu

天皇杯連覇を目指す川崎が、ソニー仙台を2-0で下した2回戦、試合終盤の83分に感慨深い復帰を果たした男がいた。

今季、レンタル先の山形から川崎へ戻った23歳のアタッカー・宮城天である。

幼き頃から川崎のアカデミーで育った宮城は、2020年にトップチーム昇格を果たし、すぐにJ3の富山へレンタル移籍すると、21年、22年は川崎でプレーし、印象深いゴールを決めつつ、昨季は長崎と山形で約半年ずつ武者修行していた。

そのなかで今季はリハビリからのスタート。徐々に練習の強度を上げ、ついにソニー仙台戦で今季初のベンチ入りを果たすと、思い出深い等々力のピッチへカムバックを果たした。その想いを聞けば、力強い言葉が返ってくる。

「地元でもありますし、アカデミーからずっと育ってきたので、ここで活躍したいという想いは強くて。成長するためにレンタル移籍して帰ってきたので、嬉しいですが、結果を出していかないといけないと、声援を送ってもらったことを含めて強く思いました」

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この日、任されたのは、以前所属していた際と同様の左ウイング。ただ、レンタル中によりプレーの幅を広げたようで、今後はより多くのポジションでの活躍も見込めるのかもしれない。もっとも本人は冷静に、現時点での課題を分析している。

「(ソニー仙台戦は)点を決められなかったですが、感覚的なところ、ゴール前に入っていくところなどは悪くなかったと思います。あとはそこの部分を維持しつつ最後の仕掛け、スプリント回数、ドリブルのキレだったり、だいぶ長い期間離脱しており、そこの部分は100パーセントではないので、そのキレを上げていきたいです」

山形で最後の公式戦に出場したのは昨年の11月12日。実戦から遠ざかってきただけに、コンディションをさらに上げるには、まだ時間を要すのだろう。

それでもパリ五輪世代として、アカデミーで同期だったMF山内日向汰らと切磋琢磨しながら、今後の川崎を支える存在として期待したい。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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