鯖江市の中学校いじめ、6件の事実認定 調査専門委が会見、学校側の不適切な対応指摘

調査報告書について説明する海道委員長(右)ら=6月13日、福井県の鯖江市役所

 福井県鯖江市内の中学校に通っていた女子生徒がいじめを受け、いじめ防止対策推進法の「重大事態」に認定された問題で、弁護士や大学教授ら第三者による調査専門委員会が6月13日、市役所で記者会見した。6件に上るいじめの事実認定や、学校側の不適切な対応を指摘した報告書の概要を公表。海道宏実委員長(弁護士)は「学校現場や市教委を含め、法の趣旨の理解が不十分だった」と指摘し、いじめに対応する組織の再構築を求めた。

 調査で認定されたいじめは、1年時の2020年、「変顔」の写真をグループラインに無断で投稿されたことに始まる3件と、3年時に被害生徒が過ごしていた保健室の利用を巡るトラブルなど3件。

 学校では当初、被害生徒の悩みを担任教諭が無理に聞き出す不適切な対応があり、学年レベルのみでの問題の抱え込みもあった。いじめ発覚後に被害、加害生徒の接触を避けようと対策したが、学年が上がるとともに徹底されなくなった。

 市教委の学校との連携、支援も十分ではなかったと指摘した。市教委は22年9月以降、保護者から重大事態の申し入れを受けていたが、対応は内部調査にとどまり、24年1月末の認定まで判断が遅れた。

 重大事態の認定遅れについて、海道委員長は「いつ判断すべきだったかを特定するものではない」とした上で、原因として「(学校側の)法の趣旨の理解が不十分なところが大きい」と述べた。被害者ら関係生徒が卒業した後の調査となったことに「限界ややりづらさがあったことは否めない。本来なら(在学中に)集中的に調査した方が、正しい認定ができた可能性はある」とした。

 報告書は学校への提言として、▽いじめの早期発見に向けた対応の再構築▽いじめ対応組織とその実施体制の再構築▽保護者との信頼関係構築を支える連携ネットワークの組織化-などを挙げた。市教委も当事者としてバックアップするとともに、重大事態の「疑い」が生じた段階で迅速に判断を下し、第三者を含む調査を行える態勢を整えるよう求めた。

【全文】鯖江市の中学校、いじめ被害者の生徒が市長に提出した意見書

 海道委員長は「被害者や保護者の気持ちをしっかり聞き、寄り添いながら調査対応をしなければ、いくら学校側が適切と思う対応をしていても解決に向かわない」と強調した。

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